Zeiss沼100丁目

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Zeiss沼100丁目を記念して、一念発起。






ツレヅレなるままに機材愛をつづってきた「Zeiss沼」シリーズも、とうとう第100話になってしまいました。
そんな第100話を称えるようなハナシ、になるかどうか.....

ここのところ色々と考えた末、ついにというか、とうとうというか、あの CONTAX G シリーズの稀代の銘玉である Hologon T* 16/8 のマウントを Leica M に改造しました。色々と考えた末という部分が、小生として実は重要だったりするのですが、最後に備忘録的に載せるとして、まずは、このマウント改造レンズを語りたいと思います。


[CONTAX G シリーズ Hologon T* 16/8 の Leica Mマウント化改造(表)]
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CONTAX G シリーズが 1994年のフォトキナで衝撃のデビューを飾り、市場にリリースされた当初からこの Hologon T* 16/8 は話題の的であったようです。Contarex のボディに固定された Hologon や、ごく少数だけ供給された Leica M マウントの Hologon とは焦点距離にして 1mm 大きいのですが、復活という賛辞を冠して大いに受け入れられたようで、発売当時はバックオーダーが相当だったと聞いています。しかしながら、需要が一巡した後、CONTAX G シリーズ終焉の頃には、どちらかというと乱造気味だったようで、2002年にはコンタックス生誕70周年に合わせてコンタックスモニターキャンペーンと称して CONTAX G シリーズの Hologon T* 16/8 や Biogon T* 21/2.8 などを定価の 1/4 で販売するということが行われたそうです。定価 1/4 の代償は、感想文提出だったそうです。Hologon に限って言えば、シリアル番号のあたまは 812**** のあたりだったようで、もし元箱付だったら箱に表示されたシリアル番号の末尾に M が付されているというもの。更に、このキャンペーン用 Hologon 、できが悪かったという都市伝説があるぐらい(真偽のほどは不明です....)。

まあ、それほど、人々を魅了するレンズであるというとなんでしょう。
そう、人を魅了するレンズ Hologon 。レンズ単体だけで、なかなかそんな賛辞をもらえるようなレンズは多くはないではないでしょうか。
占い用の水晶玉を半分に割ったかのような大きな前玉、その奥には固定絞り。ひっくり返せば、小さなビー玉が埋まっているかのような後玉、T* コーティングのせいなのか、光の具合で淡い緑色だったり紫色だったりに輝くようなこの小さな球面。
レンズの外観だけでなく、そのレンズが取り込んでフィルムに展開する世界がまた特別。写すたびにそこにドラマがあるような写り。直線はどこまでも直線に写り、水平方向からちょっとでも上に仰ぎ見るような角度で撮影すると天井方向が容赦なく画面上方から襲い掛かるような写真になり、周辺減光も合いまった強いコントラストの描写は、あたかも自分が一端のストレートフォトグラファーになったのかの幻想まで抱かせてくれるような気分にいざなってくれるのです。
とかくカメラをホールドしている手の指が写り込むから気をつけろと言われて、レンズの画角に合わせた厚紙をカメラに装着することで、指が写らないような位置に逃げられて、しっかりとホールドできる指の置き場を決定し、それに慣れる治具を作ってみたり、ファインダーで見渡せる範囲と撮影される範囲の違い、つまり、パララックス(視差)を理解するために実地検証してみたりと、まあ、使いこなすための色々なことをしてきました。その値段の高さから、このレンズを手に入れるまで色々と逡巡したり、手に入れたのだからと使いこなす色々な工夫をしてきたりと、いろいろなことがあったわけですが、ホント、このレンズを手に入れて良かったなぁ、って思うのですよ、今となれば。


[CONTAX G シリーズ Hologon T* 16/8 の Leica Mマウント化改造(裏)]
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ここまでの絶賛レンズ、唯一残念と言わざるを得ないのが、CONAX G マウントであることなのではないかと。天は二物を与えず。
最近のデジカメ事情では、マウント変換アダプタの多様化と135フィルムフォーマット相当の優秀なデジタル画像素子の開発、ミラーレスカメラを代表とするフランジバックの短いデジタルカメラの登場で、この Hologon:16mm も時々話題には上るようにはなりました。時々登場というのが、どうやら、デジタルカメラとの相性があまりよろしくないところにあるようですね。曰く、周辺減光が大きすぎる、周辺画像は色が変(偽色、ゴーストのような部分ができる)、と。
そんなネガティブキャンペーンに抗す方法が、今となっては、CONTAX G シリーズのカメラでフィルムを使って撮影するか、そう、マウントを Leica M マウントに改造して、後玉がぶつからないボディーを選んで、これまたフィルムで撮影することではないかと。


[Hologon T* 16/8 の Leica Mマウント化改造、Leica M3 への装着]
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というわけで、CONTAX G マウントの Hologon:16mm を Leica M マウントに改造です。
改造はいつもお世話になっている、東京は浅草のハヤタカメララボさん経由での宮崎光学さんです。ここが一番信頼が置けるのかな、と。
そこで忘れずお願いしたのが、後玉を保護するレンズガード研削です。手持ちの Leica M マウントカメラでまず間違いないであろうと思われる Leica M3 を想定していますと伝えました。その結果の出来上がりは、後玉鏡銅ギリギリまで削っていただきました。ということで後玉は、ノーガード状態....、でも全くツラ位置まで削ってはおらず、最近接位置まで繰り出した時の後玉突出位置になるぐらいになっているようです。そう、このレンズガードを研削した状態では、ピントリングを 0.3m から無限遠にした時のレンズの動きが分かるのです。マウント改造前のレンズガードが存在していたこれまでは気づかなかったのですが。このレンズガード研削に関して大切ことが納品書代わりのレンズ改造作業報告書に使用上の注意として記載されています。それは、「レンズの着脱の際には、レンズを必ず最短撮影位置に繰り出してください。」です。これまでの情報では Leica M3 ならシャッター幕にぶつかったり、カメラ内の構造物に接触したりするようなことはなく問題なく使えることは分かってはいるのですが、無限遠側にしてレンズを仕舞った状態というレンズ後玉がカメラ内部構造物にあえて近づいた状態でレンズを着脱することはしない方がベター、というコトなのですね。なるほど。
出来上がってきた改造 Hologon:16mm 、表から一見すると何も変わってはいないのですが、裏返して見るとちゃんとマウントが変わっており、後玉の周辺もレンズガードが研削されていることがわかります。もうひとつ、フォーカスリング回すノブの裏側も研削されています。カメラ側に備わっているブライトフレーム切り替え用のノブに接触しないようにという配慮のようです。

それでは、レンズを最近接: 0.3m に設定して、慎重にカメラのマウントに装着します。あれ、取り付け時指標の赤点がない(Carl Zeiss ZM レンズだと青点ですね)....、レンズロック用の凹みは確認できますので、30度手前ぐらいにめぼしをつけて、バヨネットに挿入します。最初はやっぱり不安でしたので、レリーズワイヤでシャッターを開放したままで装着、飛び出した後玉とシャッター幕のレールとの位置関係を確認してから、シャッターを閉じました。確かに近い、とっても近いです。
Leica M3 に、このマウント改造 Hologon: 16mm は装着でき、撮影も問題なくできました。撮影結果などについては後述します。
ちなみに、詳しくは後述しますが、付属の純正ファインダーは、シャッタースピード調整ノブに干渉してしまいます。

さてそうなると、やっぱり試したくなるのが、Zeiss Ikon に装着可能なのであろうか、ということを....


[Hologon T* 16/8 の Leica Mマウント化改造、Zeiss Ikon への装着]
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上述の通り、レンズのフォーカスリング指標を最近接:0.3m に設定して、カメラのシャッターをバルブにして開放したまま、裏蓋を開けて様子を見守れるように準備しておきます。レンズを慎重にマウントにレンズを押し当てます。レンズ後玉の構造は、Zeiss Ikon のボディ内部には接触しないようです。そしてバヨネットのスプリングを感じつつ、レンズをカメラ側に押し込んで、更に慎重に時計方向にロックします。カチッとロックされた位置で、後玉を見ると電子シャッターとは2mmぐらいは開いているように見えます。レンズのフォーカスリングを無限遠にしてみます。再度、電子シャッターとの位置関係を確認すると、僅かではありますが、実際には測定できはしませんが、1mm程度はクリアできる隙間がありそうです。レリーズワイヤの固定を解除、電子シャッターがシャッと戻ります。ここで傷が付くともう後戻りはできません.....
シャッターが閉じた時の音には、何か引っかかったような雰囲気は感じませんでした。大丈夫か....
レンズのフォーカスリングを再び最近接:0.3m に戻し、レンズを外します。シャッターには傷は付いていないようです。レンズ後玉の表面、拡大鏡で見てもキズは付いていません。
やりました、Zeiss Ikon にも装着できたのです。
但し、プログラムAEのための測光用素子は大きく覆われてしまうようで、晴天時の設定では5段ぐらい低い値になってしまうようです。つまり、プログラムAEは使えない、ということになります。測光素子が隠されてしまうのは、Russar 20/5.6(L) と同様のようです。
この Zeiss Ikon でも使えるというのは、とてもうれしいです。Zeiss Ikon は Leica M3 より軽いですからね。とはいえ、この Hologon:16mm 、ついでに Russar:20mm といった超広角レンズは距離計非連動といこともあり、Zeiss Ikon や Leica M3 といった優秀なレンジファインダー機能は使わずじまい。構図も外付けファインダーで決めるわけですから、ファンダーすらなくても良いことになりそうです。ゆくゆくは、この手の距離計非連動超広角かつ後ろ玉超飛び出し系レンズ専用にボディーを揃えたいかな、と思っているところです。と、そういう眼でネットで調べて見ると、Zeiss Ikon SW に Hologon:16mm の Leica M マウント改造レンズを装着している人を見つけました。同じように装着できるとは、Zeiss Ikon つながりなんですかね。
ちなみに、小生が常用している Zeiss Ikon 用革製シューケースは、使えなくなりました。フォーカスリング回すノブの裏側は研削されているものの、シューケース革の厚さはクリアできませんでした。

さて、撮影結果に入る前に写真撮影では重要なアウトフィット・アイテムである外付けファインダーについて語っみたいと思います。


[G-Hologon T* 16/8 M-mod on Leica M3 with Genuine f:16mm view finder]
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構図を決めるための外付けファインダー、CONTAX G システムとしての Hologon:16mm には水準器が備わった優秀なファインダーが標準で付いてきます。この外付けファインダー、実際に優秀なのですが、大きすぎるのです。その干渉状況は前出の画像をご覧いただくとして、Leica M3 に装着すると、比較的小ぶりな Leica M3 のシャッタースピード調整ノブは、この外付けファインダーの下部に覆われて、操作しにくくなってしまうのです。そんなに頻繁にシャッタースピードを変えることはないにしろ、自由度が減るのは撮影気分が盛り上がりません。


[G-Hologon T* 16/8 M-mod on Leica M3 with Voightlander f:15mm view finder]
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とはいえ、世の中、代替となるような f:16mm のファインダーなどあるわけなく.....、近い焦点距離の外付けファインダーとしては、Carl Zeiss と Voightlander の f:15mm のファインダーになるのかなと。焦点距離:1mmの差は、実はあるのでしょうが、ここは大きな心で許すこととしましょう。元から f:16mm の Hologon:16mm に純正のファインダーの見える範囲と撮影範囲の特徴を調べたときから分かっていたのですが、ファインダーをしっかりと上下左右をギョロギョロと見回さなければ、撮影される範囲を確認したことにはならないのです。その点、f:15mmファインダーなら、のぞいて、ざっくりと構図を決めれば、概ね f:16mm になりはしないかと、甘く考えてみたのです。


[G-Hologon T* 16/8 M-mod on Zeiss Ikon with Voightlander f:15mm view finder]
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さて、f:15mm の外付けファインダー、Voightlander の f:15mm は Super Wide-Heliar 15mm F4.5 Aspherical Ⅱ で手に入れています。しかしながら、そう、今回は Carl Zeiss に拘ってみたい、と思ったのです。つまり、Carl Zeiss の f:15mm 外付けファインダーを手に入れてみました。まあ、厳しく言うと、ファインダーで写真は変わらないのですが、写真を撮るという意気込みは変わりますね。水準器はないし、パララックス:視差も合っていないわけですからしっかりとした構図でという点では癖をつかむのにもう少し時間が掛かりそうです。とはいえ、このファインダー、当世のレンジファインダーカメラには合っているようで、シャッタースピード調整ノブをいたずらに邪魔することもなく、そして何より広く透明感のある世の中が目の前に広がっているかのような見え方は撮影する気持ちを更に高めてくれるようです。ちなみに、視度補正レンズ:-2 を付けた方が小生にはクリアに見えるようになるようです、近眼ですからね。もうひとつちなみにですが、この f:15mm のファインダー、正しい位置でのぞかないと像が滲む、2重に見えるのです。取扱説明書などは同封されていませんでしたので、想定、この像が滲まないようにして見るのが正調、ということなのでしょう。
見ている像が滲まない位置でざっくりと見渡し、ココでよしと思ったところでシャッターを切る。超広角レンズ用外付けファインダーをのぞいていると、なぜだか陽気になるんですよね。とはいえ、写真の出来映えという点ではちと違うことが多いのではありますが。


[G-Hologon T* 16/8 M-mod on Zeiss Ikon with Carl Zeiss f:15mm view finder]
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さて、やっと試写結果です。
マウントを変えただけ、レンズ光学系には手をつけていないわけですから、写りとしてはこれまでとなんら変わりはないのですが、それを言っては、文章と機材の写真だけの面白みの欠けるエントリになってしまいますし、撮影した結果から長年の疑問であったあることが分かったということもあるので、いくつかの拙い作例で語りを続けたいと思います。


[G-Hologon T* 16/8 M-mod 試写1]
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Leica M3 + G-Hologon T* 16/8 M-mod, Kodak Tri-X 400 (100ft)
Scanner: CanoScan 9000F + Silverfast SE plus


この Hologon:16mm は F=8 ゆえ、ISO400のフィルムを装填したなら、晴天時日中の順光ならセンパチ、すなわち、シャッタースピードは 1/1000 秒となりますよね。ですので、試写1のようなこの厳しい逆光条件であっても 1/1000 秒に設定して撮影しました。その結果、太陽がしっかり円形に写されており、T* コーティングのすばらしさを認めることができるのですが、全体的に暗いな、と。つまり、太陽に照らされた奥のビルぐらいまでの露出はいいとしましょう。しかしながら、手前の風景、特に画面の周辺は現像時間を間違えたかというような露出不足が発生しています。これが周辺減光なんですね。EV値にして2段程度は減光していると言えましょうか。
それもそのはずで、レンズ特に後玉がここまでフィルムに接近した位置から目の前の景色がフィルムに向かって放出されるわけですから、その光軸はフィルム面に向かってある角度を持つことは必至。後玉レンズ直後のフィルムまでの距離と、後玉レンズ表面からフィルムの端までの距離の差は、数倍あろうかと。光がフィルム面に届く距離が中央と端で差があることはその分、光強度が減衰することから、いわゆる、周辺減光がどうしても発生してしまいます。また、目の前の景色がフィルム面に斜めに差し込むことから、デジタル素子では偽色を発生させたり、極端な感度低下が見られてしまうようです。

超広角レンズの宿命である周辺減光、まあ分かってはいたのですが、CONTAX G シリーズを使っての撮影ではそれ程気にならなかったものですから....、えっ、CONTAX G シリーズで撮影していた時には気づかなかったこと....、周辺減光を補正すべくシャッタースピードを1段から2段調整したような写り、露出オーバー気味になっていたかもしれないような測光....
ここでハッと思い出したのです。CONTAX G シリーズで Hologon:16mm を装着した時のシャッタースピードが、Hologon:16mm 以外のTTL測光に対応しているような、例えば Planar:45mm とは、2段から3段程シャッタースピードが遅いという現象があったことを。
ここからは小生の推測ですが、「CONTAX G シリーズでは、Hologon:16mm 用に露出条件を調整していた」のではなかろうかと。
つまり、一般的な測光結果である露出条件(EV、反射光測定)から、周辺減光が余り気にならないような程度にシャッタースピードを遅く(露光時間を長く)していて、真逆光だったり、真順光だったりのような場合には、一般的な組み合わせのシャッタースピードから3段程度落として、その中間の露出条件では2段、暗めなら撮影範囲内の露出条件差が少ないと見て1段程度落とすという調整をしている、のではないかと。
ならば、シャッタースピードをマニュアルで設定した場合にはどうなるかというと、これも外部測光用セルによる測光結果を参照して設定したシャッタースピードを調整していると思われます。というのも、Leica M マウントに改造する直前、CONTAX G1 に Hologon:16mm という組み合わせで、積極的にシャッタースピード調節による撮影をしたことがあって(Tokyo Portrait #15Tokyo Portrait #16 のあたりの一連の写真)、プログラムAEモードと同じような写りになることを確認していたからです。とはいえ、その時のシャッタースピードは、実のところ、分かりません。撮影時には外付けファインダーを覗き込んでいるわけですから。例え、シャッタースピード調整ノブの指標を1/250秒に合わせていたとしても、本体ファインダー内の表示を確認することをしなかったのですから。そして、マウントを改造してしまった今となっては、これを検証することは小生のところではできなくなってしまいましたし。
CONTAX G シリーズの露出条件測定からプログラムAEモードによる撮影条件設定に疑問を持ってから約5年....、小生の推測が概ね合っているとしたら、中古カメラ店からの問合せ対応していただいた京セラの方も不明であった CONTAX G シリーズにおける Hologon:16mm 使用時の外部測光結果からのプログラミング(露出調整アルゴリズム)が、なんとなく分かったというところでしょうか。逆に言えば、Hologon:16mm の描写を引き出すように CONTAX G シリーズカメラがその Hologon:16mm に特化した露出条件に調整していた、Hologon:16mm のために CONTAX G シリーズカメラが開発されたといっても過言ではないと思えてきます。
って、普通は気づきませんよね....、マウントを改造するなりして専用に組まれたプログラムが働かない状態、つまり、純マニュアル設定で撮影して比較しない限り、その差が見えてきませんものね。そもそもそこに疑問を持つか、というモノズキさがないとならないかもしれませんね、自虐的ではありますが。


[G-Hologon T* 16/8 M-mod 試写2]
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Leica M3 + G-Hologon T* 16/8 M-mod, Kodak Tri-X 400 (100ft)
Scanner: CanoScan 9000F + Silverfast SE plus


というわけで、そんなことに気づく前のブラパチ試写における次の写真は露出を周辺の、ここでは右側のガスメーターに合わせて撮影した作例になります。ご覧の通り、路地奥の日光が当っている場所はやや飛び気味ですが、それはそれでもいいかなという構図でして、確認しておきたいのは、周辺減光が気にならない露出設定で撮影できているのではないだろうかというところ。確か 1/30秒に設定した覚えがあるので、奥の日差しがある部分との露出差は5段ぐらいでしょうか。
この結果から考えるに、Hologon:16mm の撮影時シャッタースピードの選択にある程度の手順が見えてきます。

①撮影する構図上で、イチバン暗いところをどれぐらいに露光させるかを考える(暗く潰してしまうのか、ディティールまで浮かび上がらせるのか)

②それに3段プラスしたところがイチバン明るいところの露出になるが、そこがフィルム上露出オーバーで飛んでしまう(諧調が出ない)コトでもよいのかということを判断しつつ①の露出条件と比較しつつ、シャッタースピードを決定する

ちなみに、プラス3段としたのは白く飛んでしまったところは結局は諧調が再現できない可能性があるための余裕となります。これまでの経験上、プラス5段でもいいように思えます。
この ①→② の過程をいちいちやっているのが面倒なら、乱暴に言ってしまえばこれから目の前を切り取ろうとしている世界で一番暗いところに露出条件を合わせてシャッターを押してしまえばよい、ということになりましょうか。普段の撮影の逆設定ですが、特別なレンズ = Hologon:16mm を付けているいる時だけということですから、なんとかなるでしょう、ね。


[G-Hologon T* 16/8 M-mod 試写3]
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Leica M3 + G-Hologon T* 16/8 M-mod, Kodak Tri-X 400 (100ft)
Scanner: CanoScan 9000F + Silverfast SE plus


さて、CONTAX G シリーズの極めつけの銘玉である Hologon T* 16/8 にまつわる話とマウントを Leica M マウントに改造した話、外付けファインダーの話、撮影に際した露出の設定方法の話とつづってきて、一通りのこのレンズにかかわる話は尽くすことができたのではないかと考えております。
というわけで、冒頭に匂わせた「色々と考えた末」ということについて、Hologon:16mm での試写結果を引き続き織り交ぜながら語ってみたいと思います。もうしばらくのお付き合いを。


[G-Hologon T* 16/8 M-mod 試写4]
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Leica M3 + G-Hologon T* 16/8 M-mod, Kodak Tri-X 400 (100ft)
Scanner: CanoScan 9000F + Silverfast SE plus


冒頭に述べたとおり、この blog をはじめた当初に心底気に入った機材について述べたくなって(Zeiss沼1丁目)、思いつくまま始めた Zeiss沼 シリーズ。その命名はご想像の通り、カメラやレンズなどの機材にに入れ込んでしまう様を沼に沈むがごとくの状況とよく言われるフレーズから来ています。そんなに当初は続けるつもりはなかったものの、やはり、「沼」といわれるとおり、色々と機材を手に入れたり、試したことをまとめてみたりと、とうとう 100話に到達してしまいました。この 100話すべてが新しい機材を手に入れた報告ではないのですが、それなりに機材は増える傾向にはあったわけで、趣くままに順繰りに機材を使っていくつもりが、いつしか、いつも手にするカメラが絞り込まれてゆくこともあって、ここ数年にいたっては1年に1回登場させるようなカメラが増えてきてしまいました。


[G-Hologon T* 16/8 M-mod 試写5]
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Leica M3 + G-Hologon T* 16/8 M-mod, Kodak Tri-X 400 (100ft)
Scanner: CanoScan 9000F + Silverfast SE plus


増える機材に呼応して段々使わなくなってくる機材が増える、その最筆頭が CONTAX G シリーズだったのです(CONTAX G2CONTAX G1)。このカメラを持ち出すぐらいなら、Zeiss Ikon にするか、それとも Leica M3 にするか、いっそのこと Leica DⅢ という選択肢もあるぞ、と思ってどんどん使わなくなってきてしまったのです。当初はあんなに偏愛していたのに、です。とういか、ご家庭向け一眼レフカメラから CONTAX や Carl Zeiss というブランドのカメラやレンズを使い始めたばかりで、それしか知らなかった時期でもあったのでしょう。
CONTAX G シリーズのカメラの使用頻度が落ちたことで、最も影響が出たレンズが、Hologon T* 16/8 です。既に 他の CONTAX G マウントレンズは Leica M マウントに改造してあります (Biogon:21mmBiogon:28mmPlanar:35mmPlanar:45mmSonnar:90mm)。これら CONTAX G マウントレンズは、Leica M マウントに改造したことにより時々持ち出すことができたのですが、Hologon:16mm と Vario-Sonnar:35-70mm は CONTAX G の本体とセットでしか持ち出せず、レンズが使いたいなと思っても、カメラ本体への使用欲求が沸かないと実際に登場できないという状況が続いていたのです。


[G-Hologon T* 16/8 M-mod 試写6]
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Leica M3 + G-Hologon T* 16/8 M-mod, Kodak Tri-X 400 (100ft)
Scanner: CanoScan 9000F + Silverfast SE plus


折も折、久しぶりに Vario-Sonnar:35-70mm を使いたい、どうしても使いたいと思って、その日の機材に CONTAX G2 を選択。ま、背景には、ここのところ中藤毅彦さんや氏の写真に触れる機会が続いていたこともあって、そのあやかりで、この選択をした、というのが正直なところではあります。
しかしながらこの CONTAX G2 + Vario-Sonnar:35-70mm でプラパチしている街中で突然フィルムが巻き上がってしまう事態が発生したのでした。撮影枚数としては10コマ程度。長巻からフィルムを切り出して巻いたリローダブル・パトローネを使ったためかと思い、たまたま寄った実家でジャンパーをチェンジバック代わりにフィルム端を一旦パトローネから取り出して、カメラに詰めなおして、ついでに空シャッターで撮影したコマ数だけ先に送って、その日の撮影は完了。翌日現像してみると、いずれのコマも露出オーバー、かつ、カメラ・ブレを起こしていました。想定、シャッターが開いて、所定の時間に、しっかりと閉まっていないトラブルが発生したためと推測しました。上述の通り、CONTAX G シリーズのカメラには思い入れもありましたので、修理を依頼することにしました。その CONTAX G2 は偏愛を持っていた頃に2台体勢にしておりましたので、修理に出した方ではない G2 も似たような事象が発生しないかを確かめておこうと考えたのです。で、どうせなら Hologon:16mm も持ち出すかと、そちらは CONTAX G1 に装着しました。どうせついでで思い出したのです、CONTAX G シリーズのカメラと Hologon:16mm には プログラムAE露出調整に納得いかないところがあったことを。ですので、外部測光+プログラムAEは止めて、積極的にシャッタースピードをマニュアルで設定して撮影してみることにしたのです。ここのところは上述しましたね。つまり、久々に CONTAX G シリーズを持ち出して、カメラテストのようなことをやってみようということにしたわけです。
結果としては、2台目の CONTAX G2 のシャッターには異常は認められずいい写りをしていることが分かり(これや、これ、ね)、CONTAX G1 と Hologon:16mm の組み合わせによる非プログラムモードでの撮影結果も上々、ということになりました。


[G-Hologon T* 16/8 M-mod 試写7]
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Zeiss Ikon + G-Hologon T* 16/8 M-mod, Kodak Tri-X 400 (100ft)
Scanner: CanoScan 9000F + Silverfast SE plus


そこで改めて気づいた、というか、考えてみたのです。

全般的に CONTAX G システムは動作が緩慢なのです、厳しいことを言うと。オートフォーカスしてもプログラムAEにしても、目測レンズである Hologon:16mm を装着しているときですら、シャッターボタンを押してからシャッターが切れるまでかすかなタイムラグを感じてしまうのです。オートフォーカスに至っては、それは特に Vario-Sonnar:35-70mm を装着時には、合焦するまでの、そして、結局はタイミングと焦点が合っていないところで合焦が表示されて、シャッターが切れるようになる、いや、そんな時にはシャッターボタンを押し切らないのですが....、というイライラが募ってしまうのです。
確かに Carl Zeiss のレンズによる描写は素晴しく、出来上がりが待ち遠しい撮影にはなるのですが、どうも、このタイミング感が小生にあっていないように思えてきたのです。
更に Hologon:16mm 使用時の非プログラムAE撮影がまあまあ上手くいったことから、Hologon:16mm にプログラムAEは不要で、もともと距離計非連動かつオートフォーカス非連携のレンズゆえ、自動巻上げだけ諦めれば CONTAX G 本体を使用する必要がないのではなかろうかと思えてきたのです。つまり、かねてから構想の中にはあった、Hologon:16mm レンズの Leica M マウント化してしまっても良いのではなかろうかと。
こうして、Hologon:16mm のマウントを Leica M マウントに改造することは、小生の中では半ば決定事項になりました。となると CONTAX G でなければならないのは、Vario-Sonnar:35-70mm だけとなります。そのために CONTAX G シリーズを残しておくか....、いや、今回はその拘りに抗うことに決めました。とはいえ、一切の CONTAX G シリーズ物品を処分することは、今回は踏ん切りがつきませんでした。結果として、CONTAX G1 と Biogon:28mm だけ残すことにしたのです。その理由は、ここのところあまりできていない赤外線写真をこの CONTAX G1 + Biogon:28mm で今年こそは取り組みたいと思ったからです。

実のところ....、
このエントリを作成している現時点で、CONTAX G2 の人気が高く、中古市場でかなりの額、小生が 2009年12月に入手したときの約2倍の価格で取引されているのです。どうやら、カメラ雑誌でフィルムカメラ特集をすると、この CONTAX G2、京セラ・コンタックスの最高機種として取り上げられることが多く、Carl Zeiss レンズの組み合わせで、いい写真が撮れます、のような文面で紹介されていることが影響しているようです。事実、いいカメラだし、概ね完成したシステムですからね。一眼レフのようなミラーを廃したことで光学系に余裕と高性能を発揮できる構造になって、オートフォーカスもプログラムAEもあって、Carl Zeiss 本気モードの各種レンズが揃っているわけですから。とはいえ、CONTAX G1 が 1994年に発売されてから、既に12年以上経っているわけで、いくら爆発的に売れたといっても中古市場でも見かけなくなってきてのカメラ雑誌での紹介、高騰も致し方なしというところでしょうか。その状況下、小生としては使用頻度の極端に低い機材であれば、中古市場に供出して、次なるユーザーのところで活躍してもらったほうが良いのではないか....
少々、イイワケがましいところではありますが。


[G-Hologon T* 16/8 M-mod 試写8]
Zeiss沼100-01r
Zeiss Ikon + G-Hologon T* 16/8 M-mod, Kodak Tri-X 400 (100ft)
Scanner: CanoScan 9000F + Silverfast SE plus


これが、先日のエイプリルフールのネタとして「故あって、CONTAX生活終了することとしました。」なんてことをエントリした伏線でもあったのです(ちなみに、CONTAX生活というフレーズは Zeiss沼1丁目で登場させています)。自分でバラしてしまっては、って、だれも気にしてはいないでしょうけれどね。そこで、今年の目標のひとつ「好きなことをずっと続けていられるように、ちょっと整理してみる」のひとつ実行できた、ということになるのですね。今年はもうちょっとそこいらあたりに手をつけようと思っているところです。
あ、ちょっと整理してみるというだけで、写真も続けますし、カメラやレンズを集めたり、作ったりすることも今後も続けますよ、しっかりね。

ということで、これまでレンズ交換式カメラ用に新たなレンズを手に入れたときのエントリで登場させていた、カメラ・マウントシステムごとの保有レンズリスト、レンズ・カメラマップと読んでいますが、このリストを今後はレンジファインダー・カメラ、それも、マニュアル操作方式のレンジファインダー・カメラに絞ろうと思います。レンジファインダー・カメラに絞るといっても、小生の場合、Contax と Leica しか興味がわかないので、マウント形式は2種類、いや、細かく言うと3種類(Contax、Leica L39 Screw、Leica M)にしかなりません。とはいえ、この2つの領域だけでも、まだまま世界は広く、色々と楽しめることは想像に硬くはありません。


[新形式のレンズ・カメラマップ rev.29]
Zeiss沼100-01t


またまた、随分と長いエントリになってしまいました。
ここまでが、今回の「色々と考えた末」の顛末も含めた 稀代のレンズ CONTAX G シリーズの Hologon T* 16/8 の Leica M マウントへの改造のお話になります。ここまでお付き合いいただき、誠にありがとうございました。


[G-Hologon T* 16/8 M-mod 試写9]
Zeiss沼100-01s
Zeiss Ikon + G-Hologon T* 16/8 M-mod, Kodak Tri-X 400 (100ft)
Scanner: CanoScan 9000F + Silverfast SE plus

テーマ : ★カメラ&レンズ・機材
ジャンル : 写真

tag : Camera.ZeissIkon Camera.Leica-M3 Lens.G-HologonT*16/8M Films.Kodak-TriX400

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