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Zeiss沼98丁目

[魅惑の後玉]
Biogon-L-01a


本家。






小生の「ビオゴン好き」は、この場で何度も書かせていただいているテーマではあります。35mmカメラ用で、現在入手できそうな交換レンズのほとんどは手に入れていて、中判である6x6フォーマット用にも Hasselblad SW を手に入れると、最後に残るのは大判のビオゴンなのかな、と。まぁ、大判用ビオゴンはおいておいて....
35mmカメラ交換レンズの中でも、旧Contax の系譜となるレンジファインダー用の f:35mm F=2.8 のスペックを持つビオゴンは、その特徴的な後ろ玉の形状から、特に小生を魅了するのです。ゆえにと言っては言いすぎですが、旧Contaxマウントのビオゴンを使い続けるため、Contax Ⅱ を複数台有することにまで至っています。また、この Carl Zeiss Biogon の系譜を引くロシアンレンズである Jupiter に至っても、旧Contax/Kievマウント用とライカスクリューマウント用を有しております。一時期あまりに旺盛に収集してしまったため、現在は少しずつ、中古カメラ・レンズ市場に戻しつつあり、自分で言うのも変ですが、まぁ、各バリエーションとしては最小限の保有個数に(つまり、ひとつのマウントにひとつのレンズ、のように)なったかな、と。

ということで、冒頭の後ろ玉。
明らかに旧型のビオゴンであることは、直ぐに察しがついて、戦後直ぐの白鏡胴の Jupiter であろうとお思いのことと思いますが、今回はちょっと違いますよ。よく見てくださいね....


[魅惑の後玉(全景)]
Biogon-L-01b


って言っても分かりませんよね。
して、その正体は、ライカスクリューマウント(Lマウント)の Carl Zeiss Jena ブランドのビオゴン、つまり、本家のビオゴンです。シリアル番号:271***** (3000000未満)で、レンズ銘に Carl Zeiss Jena とあることから1945年以前、つまり戦前のレンズとなりそうです。(ハンス・ユルゲン・クッツ著:コンタックスのすべて、から)
後玉はここまで良く似ているにもかかわらず、唯一、惜しい感じがするのは、絞りリングの操作性です。はっきり言って、本家ビオゴンの方が使いにくいです。回らないと言うか、指や爪をかけるところがほとんどなく、しぼり設定には一苦労です。小生のビオゴンだけかもしれませんが。そういう視点でもう一度本体を見ると、絞りリングには塗装がはがれた箇所がいくつかあります。このレンズを以前使われてきた方々は、指や爪を掛けた跡なんでしょうね、きっと。
そして、同様に一般的なねじ込み式のフードを装着することができません。どうやら鏡胴先端には直径40.5mmのねじが切ってあるように見えるのですが、その手のフードを持ってきてねじ込んでみてもねじが進んでゆきません。絞りリングとの間隙が狭く、フード取り付けねじ部材質の肉厚を許容してくれないみたいです。旧Contaxマウントのレンズだと絞りリング側にフードやフィルター用のねじが切ってありますよね。フードを装着すると、絞りリング操作性が改善するというオマケが付いてくるのですが、それも期待できません。あ、そうか....、一般的なねじ込み式のフィルターも装着できないということですね。
ということで、フィルターもフードも装着できないので、内直径46mmのかぶせ式キャップを使うことになります。


[Carl Zeiss Jena Biogon T 3.5/2.8 Lマウント]
Biogon-L-01c


このレンズ、後玉が大きく張り出していることから、カメラを選ぶレンズとしても有名です。ということで今回、ちょっと試してみることにしました。レンズを最近接側に繰り出して、Zeiss Ikon にML変換リングを介してシャッターをバルブで開けて様子を見つつ接続.....、どこが当たりそうかを見てみました。すると、当たりそうなのはシャッター幕ではなく、露出計測用のセンサーなどが取り付けられている内部構造部分が後玉に当たりそうになるのでした。まあ仮にこの部分を回避したとしても、ロシアンレンズの代表的広角レンズである Russar の時のように、露出計を塞いでしまいそうです。とはいえ、旧Contaxマウントのビオゴンが、Contax Ⅰ または Ⅱ でしか使えないことを考えるとライカスクリューマウントなら色々と選択肢は広がりそうです。(旧Contaxマウントのビオゴンが使用できるカメラ、正確には、KievのⅡとⅣも使えますし、最近のレンズ交換式ミラーレスデジカメには適したマウントアダプタを介して接続できるようです)


[魅惑の後玉(横から)]
Biogon-L-01d


惜しいところばかりを先に言ってしまいました、申し訳ございません。それを越えるようないいところがあるんですよ、この手のレンズには。なんていったって、その佇まい。
ボディ外装には、クロームボディに刻まれた距離と被写界深度を示す小さめのフォント、ピント位置を示す朱が盛られた三角。奥まったレンズ前玉を囲む部分はクロームに黒い塗装。ところどころ年代を感じさせる、そう、これまでこのレンズを使ってきた人たちの痕跡でもある塗装のはがれ。レンズ銘の文字列には誇らしく朱のT。そして、旧Contaxマウントのビオゴンよりスリムなボディ全体。旧Contaxマウントとはレンズエレメント自体は同じなのでしょうけれど、マウントやレンズエレメントをカバーする部材により、旧Contaxマウントのビオゴンの方が太っちょなマッチョ、ライカスクリューマウントのビオゴンの方が細身でエレガント、にも見えてきますよね。


[マウント違いの戦前ビオゴンとそのコピーレンズたちの後玉]
左: Jupiter-12 35/2.8 (L)
中: Carl Zeiss Jena Biogon T 35/2.8 (L)
右: Carl Zeiss Jena Biogon T 35/2.8 (C)
Biogon-L-01e


戦前ビオゴンの旧Contaxマウントとライカスクリューマウント、そして、いわゆる戦前ビオゴンをコピーしたロシアン・ビオゴンである Jupter-12 の最終型付近と思われる1980年製のライカスクリューマウントレンズの3本を並べてみました。順番は左が1980年製ロシアン・ビオゴンのJupiter-12、中央がビオゴンのライカスクリューマウント、右が旧Contaxマウントのビオゴンとなります。
後ろ玉の様子、旧Contaxマウントはカバーされてはいますが、その曲率やカメラボディのマウント面からフィルム方向への出っ張りやその大きさは、共通するところ、迫力すら感じます。鏡胴各所の仕上げなどをつぶさに比較すると色々と違いが見えてきます。ローレットの切り方やイモねじの位置、鏡胴の傾斜のつきかた....
次にレンズを前から、そして、光の具合を調整してコーティングの状況が分かるように撮影してみました。レンズ前玉コーティングからの反射光、戦前の左2つのビオゴンは青く、左のコピーレンズは赤く見えますね。そんな違いもあるのですね。


[マウント違いの戦前ビオゴンとそのコピーレンズたちの前玉コーティング]
Biogon-L-01f


レンズ紹介の最後は、カメラに装着した状態で。せっかくのライカスクリューマウントですから、ライカD3に装着してみました。というか、スマートで小ぶりなこのビオゴン、軽快さを生かすことができるのは、やっぱり、このライカD3なのではないでしょうか。ファインダーは Zeiss Ikon製の f:35mm を装着しました。が....、シャッタースピードを設定しようとノブを引き上げると、ファインダー外装に当たってしまいます。ギリギリなんとか、ノブを引き上げシャッタースピードをあわせることができる程度の競り具合ですが、使い勝手は良くありません。この当時のファインダーはとても高価なので、手許にある35mm外付けファインダーの使用が妥当なところでしょうか。


[Carl Zeiss Jena Biogon T 3.5/2.8 (L) on Leica D3]
Biogon-L-01g


さて、ここらでこのレンズの描写をいくつかの作例で見てみましょう。


[Biogon T 35/2.8 L 試写1: 絞り開放 F=2.8]
Biogon-L-01h
Leica D3 + Carl Zeiss Jena Biogon T 35/2.8L, Kodak T-MAX 400 (100ft)
Scanner: CanoScan 9000F + Silverfast SE plus


まあ、すぐに試したくなるのが絞り開放(F=2.8)での描写ですよね。ここではピントをバルブにぶら下がった白い楕円タグに合わせています。距離にして1.5m程度。どこがどう、ってことはないのですが、ピントを外れている壁も配管部分もゆがんだり、ボケがグルグルまがったりなどせず、淡々と写しているかな、と。


[Biogon T 35/2.8 L 試写2: 何気ない街角]
Biogon-L-01i
Leica D3 + Carl Zeiss Jena Biogon T 35/2.8L, Kodak T-MAX 400 (100ft)
Scanner: CanoScan 9000F + Silverfast SE plus


淡々と、という点では、こんな何気ない街角のカット、いかがでしょうか。暗部の影とそこを行きかう人から、空、そして、陽の当たる白いビルの壁....、なんといいましょうか、この淡々感が好き、なんでしょうね、小生は。


[Biogon T 35/2.8 L 試写3: 逆光でのゴースト1]
Biogon-L-01j
Leica D3 + Carl Zeiss Jena Biogon T 35/2.8L, Kodak T-MAX 400 (100ft)
Scanner: CanoScan 9000F + Silverfast SE plus


次に試してみたくなるのが、逆光におけるコントラスト低下とゴーストの出方。えっ、そんなことないですかね....
この真逆光を受けて、五角形のゴーストがでているところは、これまでのビオゴンと同じですね。
と、今回少々驚いたのが、このビオゴンの特性....


[Biogon T 35/2.8 L 試写4: 逆光でのゴースト2]
Biogon-L-01kk
Leica D3 + Carl Zeiss Jena Biogon T 35/2.8L, Kodak T-MAX 400 (100ft)
Scanner: CanoScan 9000F + Silverfast SE plus


逆光でコントラストを失うかと思いきや、たまたま目の前にあった公衆電話ボックスに小生が写り込んでいることがはっきりと分かるではありませんか。むむむ、おぬしやるな....、と、モノクロフィルムでの試写はお時間もよろしいようで、次はカラーフィルムに。


[Biogon T 35/2.8 L 試写5: カラーで逆光]
Biogon-L-01l
Leica D3 + Carl Zeiss Jena Biogon T 35/2.8L, Fujifilm Pro-use 100
Scanner: CanoScan 9000F + Silverfast SE plus


相変わらず逆光のゴースト狙いです。どうも撮影が試写ってことになると、過酷な状況に置いてみたくなるんですよね、最近接とか逆光とか....
カラーだと四隅がわずかに周辺減光していることが分かりますね。


[Biogon T 35/2.8 L 試写6: カラーで綺麗な葉裏を]
Biogon-L-01m
Leica D3 + Carl Zeiss Jena Biogon T 35/2.8L, Fujifilm Pro-use 100
Scanner: CanoScan 9000F + Silverfast SE plus


今度の右下の影は、周辺減光ではなくて小生の指です。なぜかこの時はカメラをホールドする指がレンズにかかってしまったんですね。言いたいのはソコじゃなくて....
なんと綺麗な色表現なのでしょうか。やや逆光ながらコントラストは維持され、手前の枝もボケもいい感じで重なり、ピントが合っている部分と背景のボケもいい感じで分離されていて、ってホント、この指掛りが無ければもっと良かったのに....、ということで作例に登場していただきました。


[Carl Zeiss Jena Biogon T 3.5/2.8 (L) on Leica D3]
Biogon-L-01n


今回手に入れたライカスクリューマウントのビオゴン、ビオゴン好きの小生としてはしてやったの大金星。ついつい持ち出したくなるレンズになりそうです。
というわけで、最後にカメラ・レンズマップを。
とうとう f:35mm レンズが行をオーバーフロー。ここまで f:35mm 好きだとすると「歳=レンズ焦点距離説」は本当なのか....
Biogon-L-01o

テーマ : ★カメラ&レンズ・機材
ジャンル : 写真

tag : Camera.Leica-D3 Lens.BiogonJenaT35/2,8L Films.Kodak-TMAX400 Films.FUJICOLOR100

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