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Synchro In City #325

[Synchro In City #325a]
SynchroInCity325a
(画像をクリックすると Flickr で縮小前の画像をごらんいただけます)
2016年度9月例コンテスト「力 ~power~」
Leica M3 + Handmade Pinhole Lens(4th), Kodak Portra 400
Scanner: CanoScan 9000F + Silverfast SE plus


なんとも力を感じる写真だな、と。自分で言うのもなんですが。





この写真は自作ピンホールレンズで撮影しました。
ピンホール写真のセオリーを無視して逆光条件で撮影、壮大なフレアが写り込んでいます。とはいえ、このフレアの出現こそがピンホールレンズによる写真の楽しさ、太陽の「力」を感じるポイント、当に光の力による画としての「光画」なのです、小生としては。

というわけで、かなり高い位置から持論を述べてしまいましたが、今回はこのピンホールレンズを完成させるまでの道筋を説明させていただこうと考えております。

ピンホールレンズによる写真(以下、ピンホール写真)は、フィルムを月に1本使うの会(以下、フィルム月1の会)で知り合った友人によるところが大きいです。実のところ、この友人以外にもフィルム月1の会の皆さんはピンホール写真への造詣が深い方が多いのではないかと。そんな中で感化されないわけがないので、とある中古カメラ市で市販のピンホールを手に入れたところらへんから、小生もピンホール写真に目覚めまして....
このレンズ、そつなくピンホール写真を作ってくれるのですが、なんとなく物足りないというか、何というか。もう少し広角なレンズが欲しいなとか、とんでもない系の写真が撮れないかなとか、ワガママが出てくるようになったのですね。えっ、とんでもない系とは何かですかって....、それは....、フレアがふんだんに出たり、ボケがぐるぐる回ったり、周囲が引っ張られてゆがんでいるような写真、ピンホール写真では時々見かけるようなといっては失礼かも知れませんが....、まあ、そんなところですよ。普段は街撮りでストレートな写真を撮っていることの真逆とでもいいましょうか。この手の気持ちを説明するって、難しいですね....

というわけで(ホント、この言葉は便利な言葉ですよね、というわけで)、自分が欲しい画が撮れるレンズを自作してしまおうと考えたわけです。多くのピンホール写真家が歩んでいる道ですよね。と、思いついたところまでは良かったのですが、そこからが長かったです。小さな穴を開ければいいだけかと思いきや、なかなか思い描いたような写真が取れなかったんですね、これが。奥が深かったというか、自分の見込みや技術が足りなかったというか....

以下に時系列的に冒頭の写真が撮れるようなレンズができるまでを追ってみたいと思います。ご笑覧ください。


[第1世代: とりあえず作ってみる]
手に入れた市販のピンホールレンズがライカスクリューマウント(L39)だったのは、実は小生にとっては願ったりかなったりだったようです、結果からすると。ピンホール写真にはできるだけ大きな写真(フィルムや印画紙などの)が有利だと言われているようですが、そうなるとカメラ自体まで自作しなければならず、また、ピントの具合や露出にかかわる性能は、写真を撮って見なければ分からないという、やや時間がかかることになりそうです。いくつも作ってみて、それらのピンホールレンズをデジカメでテストして撮影用レンズとして評価するには、ライカマウントなどの汎用マウントで仕上げて、マウントアダプタでミラーレスデジカメに接続するのは大変有効だと考えるに至りました。交換レンズとしての市販ピンホールレンズが期せずして、その発想を後押ししてくれたことになります。
そこで、今後作成するピンホールレンズはライカスクリューマウントをベースにすることにしました。
となると、材料集め。
・ライカスクリューマウント(L39)は、ボディキャップを流用することにしました。プラスチックやアルミ製があります。中古カメラ屋さんを巡回していくつか適価なボディキャップを手に入れてきました。
・ピンホール部分の素材、先ずは、アルミ缶飲料から切り出して作ることにしました。厚さを正確に測る道具がないのですが、0.1~0.2mmなのではないでしょうか。飲料用ということで、両面にコーティングがされていました。
・ピンホールは、裁縫用のマチバリを使いました。
・レンズの鏡筒に相当する部分は銀塩フィルムのケースを流用することを思いつきました。上述の通り、広角側のレンズが作りたいわけですから、ボディキャップ面からフィルム側にレンズ面を配しなければなりません。フィルムケースによっては、ボディキャップの内側に少々のガタで収まる形状のものがありました。手許にある空きボディキャップを組み合わせてみると、ADOX Silvermax 21 の黒プラスチック製フィルムケースのキャップがピッタリきそうです。レンズの位置も適切そうに見えました。
・組立にはシリコン粘土接着剤を使いました。異種素材や複雑な形状をしている部品を接着し、隙間等をふさぐことができる接着剤です。


[ピンホールレンズ: 第1世代]
PinholeLens_G01a


ここで判ったことは、以下の通り。
・焦点距離は概ね 21mm。デジカメを利用して、撮影視野を市販のズームレンズと比べてみることで計測しました。
・絞りの値は概ね 250~360。これもデジカメを利用して、市販レンズの撮影条件(絞り値とシャッタースピード)から換算しました。

この写真の通りフレアが出現したり、青い空が青に写るという期待通りのレンズにはなったのですが、気になるのhがピント感。
ピンホールレンズですので、そもそも、ピント感を言い出してはいけないのかもしれませんが、像がボケボケなのが気になって。ピント感というか、もしかしたら、解像度ということなのかもしれません。解像度は銀塩フィルムの方がよいよ、というアドバイスに従い銀塩フィルムで撮影するものの、これだという感じが掴めない、つまり、ピントが甘いボケ感満載の写真にはなってしまっていました。



[第2世代: きっちりと作ってみる]
以前も述べたかもしれませんが、小生はとりあえずやってみるところから始めています。そうすることで、自分なりの課題や限界が見えてくるのですね。今回も同様。第1世代で感じたピント感・解像度感を向上させることを、先ずは、各部品をきちっと作ってみることから取り組みました。
本来であればCADを使って図面や3次元的な配置をとなるところでしょうが.....、そんな技術(やお金)を持たない小生としては必殺手段であるMicrosoft PowerPoint で作図することにしました。ご存知かと思いますが、PowerPointって図形を数値を代入することで描けたりするんですよね。各部品の位置関係をノギス等で測った大きさから割り出したり、そこから組み立て手順を考えてみたりと、しばらく考えてみました。そんな中で、いくつか工具も追加手配したりして.....、
精度を上げて作ったこともあり、ぼろぼろ感は少し減って、なんとなくちゃんとしたレンズっぽく仕上がりました。とはいえ、部品で変ったところはなく、ピンホールの素材はアルミ缶のままです。


[ピンホールレンズ: 第2世代]
PinholeLens_G02a


相変わらずピントが甘い、解像度が上げられないという状況でしたが、フィルムなら何とかなるかなと思って Zeiss Ikon に装着して撮影してみました。その結果、やはりピント/解像度は甘いままなのですが、ピンホールレンズ以外のことが気になるようになってきました。
画面の左右に色のニジミが発生しているのです。デジカメ画像では起きておらず、このカメラを使ったフィルム写真で発生しているようです。この試写日には市販のピンホールレンズも持って撮影していますが、1秒を越えるような長時間露光では、ここに見られるように画面の左右がくすんでしまっています。なぜか....
そこでひとつの推測が思い浮かびました。それは、Zeiss Ikon は縦走り電子シャッター、この電子シャッターが長時間露光に適していないのではないかと。ソレノイドを励磁してシャッターを上げている時に何かあるのではないかと。
そこで、長巻フィルムを切り出す作業の検証をする際、ライカM3にこのピンホールレンズを装着して撮影してみました。果たして結果は、画面の左右のニジミは発生しませんでした。なるほど、ピンホールレンズに適するカメラというものがあるのだな、と知った次第。
それなら、このピンホールレンズが取り付けられる、それもアダプタなしで直接装着できるライカスクリューマウントのカメラを手に入れることを考えてみるかと思いつきました。ライカM3のように正確な距離計や綺麗なファインダーは必要ありませんから。が、しかし....、そうです、とある勘違いをしてしまって、手許にあるライカD3がバルブ撮影できないと思い込んでしまっていたのですね、この時には。それで、ニッカ3Lを手に入れてしまうという....、ここの経緯は以前エントリしましたので割愛しますね。
話を戻して、ピンホールレンズの課題は依然、ピント感/解像度感 を上げることでした。



[第3世代: ピンホールの素材を銅薄板にしてみる]
この頃には色々とネットで検索するなどして、このページをよく参照するようになりました。この方もライカマウントでピンホールレンズを作っておられ、小生としては大変参考になりました。特に解像度を上げるための手法が詳しく紹介されていていました。いわく、ピンホール素材を薄くする、焦点距離に合わせたピンホールを開ける。
そこで、このページを参考にピンホール部分の素材として銅薄板を入手することにしました。ネットで手に入れられる最薄銅板である 0.1mm厚さ銅薄板です。


[ピンホールレンズ: 第3世代]
PinholeLens_G03a


ピンホールレンズはできたものの、やっぱりピント感/解像度感が希望のレベルにまで達成できていません、達成できていないと悩んでしまっていました。色のにごりも強く、デジカメなら仕方ないのかななんて半分諦めにも似たような気持ちになってしまいました。
そんな中、日本針穴写真協会(JPPS)さんが主催されていた2016年度の写真展を見に行く機会がありました。うかがって、皆さんの多彩な写真を拝見してびっくり、感動してしまいました。ピンホールでここまでの写真が撮影できるなんて....
それとピント感や解像度感にこだわらなくても、実は、実はいいんだと、皆さんのピンホール写真を拝見して教えられたのです。そうか、ピンホールレンズにこだわるのもほどほどにして写真を撮らねば、って。
その時に机の上においてあった資料「針穴写真マニュアル」をいただいてきました。これがまたいい資料でして、ピンホールの製作など上述のホームページを簡単に、そして、自分でも出来そうなレベルに記述されていました。
ここからの結論はピンホールの素材は薄いほどいい、でした。



[ピンホールレンズ: 第4世代]
ピンホールの素材は薄い方がよい。そこで、針穴写真展でいただいてきた資料に紹介のあった 0.01mm厚さの銅薄板を探しに出かけました。しかしながらなかなか見つからない、板になると最も薄いタイプでも 0.1mmしかないと店員の回答。それでは小生が第3世代で使ったのと同じ。むむむー、万事休すか....
売り場をうろうろとしていたら、銅色の物体発見。近づいてみると色々なサイズの銅のテープ。銅細工用のコーナーでした。テープなので、糊が付いてロールに巻きつけてあります。Copper Foil Tape という名称で、厚さ見てみると....、.001と書かれています。落ち着いて、落ち着いて。どうやら米国製のようで表示はインチ。ということは、.001インチ=約0.03mm。とはいえ、糊は付いているし、36ヤード(約33m)の物量。幅も色々とあって、幅に応じて値段が違う、幅広は当然ながら高い。ということで、最終的には1/4インチ幅=約6mm の銅薄テープを手に入れて店を出ました。
さて、この銅薄テープどう使おうかと(しゃれじゃないですよ....)、薄すぎて簡単に破れそう。
帰宅最中思いついたのが、紙資料をファイルするときに使うパンチャーを使って下穴を作成、その下穴にこのテープを貼って、テープにピンホールを加工するという手順。帰宅して早速調べたのがパンチャーの穴径、それは約6mmと出てきました。手に入れたのが 1/4インチと6mmギリギリ....、最初に思いついていれば、もう少し幅広のテープを奮発してでも手に入れたのに....、後悔先に立たず。とはいえ、ギリギリでもどちらかを塞げば何とかなりそう、という目論見をもって、作業に取り掛かります。
約0.03mmの厚さの銅薄テープ、思ったより取り扱いが神経質です。すぐにくしゃくしゃになってしまいます。パンチャーで開けた直径6mmの穴を塞ぐのが丁度いいぐらい。厚さ0.1mmの銅薄板にパンチャーで穴を開け、銅薄テープを貼り付けます。8:2ぐらいで片側に寄せて貼って、残りをもう1枚の銅薄テープを一部をラップさせながら貼ります。パンチャー穴から顔を出しているテープの糊を丁寧に落とし、いよいよピンホールの加工。あまりに薄いので慎重に....
と、ここで、ピンホールを開ける方法も少々変更することとしました。これまではマチバリを素材に押し付け、反対側にして飛び出した部分(凸部)を紙やすりで削って孔を作り、ルーペで見ながらマチバリを差し込みながら丸いピンホールを作っていました。この方法だと、最初の工程であるマチバリを押し当てるだけなので、マチバリを素材に貫通させる場合のようにマチバリの断面形状の影響は極力抑えられ、また必要以上にピンホール孔径が大きくなることは抑えられると思ったのです。ところが、マチバリを押した反対側面を紙やすりで削るという作業はこの薄い銅薄テープでは著しく困難です。800番の紙やすりでも当てたとたん銅薄テープがくしゃくしゃになってしまいます。33mのテープでよかった、何度も失敗できる....、ではなくて、根本的に方法を変更せざるを得なくなりました。そして、マチバリを銅薄テープに押し当てるだけで銅薄テープには穴が開いてしまうのでが、戻す時に銅薄テープに引っかかる感覚が指に伝わってきました。ルーペでマチバリの先端を見るとカエリができているのでした。マチバリの先端を紙やすりで研いでカエリをなくします。そして....、マチバリを銅薄テープ押し当てて、マチバリを押す力を少し抜いて、今度は0.1mmの銅薄板の台座をゆっくりと回すのです。そうすることによって、ある程度丸いピンホールが作れるのではないかと思って。
そこで、できたピンホールの径を何とか図ってみたくなりました。....そう、また Microsoft PowerPoint の登場です。デジカメで顕微鏡撮影して、PowerPointに貼り付けて、パンチャー穴とピンホールに合わせて円を作図、両者の数値を比較します。その結果、直径0.13mm と出ました。上述のJPPSさんの資料によれば、この穴径(d)と焦点距離(f):21mmとすると、仮の絞り値(F=f/d)は 161と計算できました。後日デジカメやフィルムを使った撮影結果からすると 250程度と実験的に求められましたので、もしかしたらこのピンホールの直径はもう少し小さいのかもしれません。同前出資料では、焦点距離:21mm で解像度が高くなるピンホールの大きさは 0.10~0.20mm とされていますので、概ね良好な条件になるのではなかろうかと判断できます。


[ピンホールレンズ: 第4世代]
PinholeLens_G04a


この第4世代のレンズで撮影したのが、冒頭の写真になります。
フレア全開ではありますが、次の作例をご覧ください。


[Synchro In City #325b]
SynchroInCity325b
(画像をクリックすると Flickr で縮小前の画像をごらんいただけます)
Leica D3 + Handmade Pinhole Lens(4th), Rollei Retro 400S
Scanner: CanoScan 9000F + Silverfast SE plus


これまで何度か撮影している場所の写真ですので、比較ができるかと。概ね満足できるレベルのピント感/解像度感ではないかと思っております。
あ、もちろん、撮影はライカスクリューマウントのカメラであるライカD3です。軽いカメラ、ピンホール写真撮影に持って来いです。なお、外付けファインダーはf:21mmで臨んでおります。フィルムケースのキャップを再利用することで、丁度いい焦点距離になっているんですね、小生としては。
そして、今回は試写でなかなかのできでしたので、52mmのフィルターリングも合わせて組み込みました。目的は....、そう、赤外線写真撮影のためです。赤外線写真用フィルターの直径が52mmなので。副次的には直径52mmのレンズキャップが装着できるようになり、持ち運び性も高まったということになります。

自作ピンホールレンズ、まだまだ改善したいことは多くありますし、チャレンジしたいこともあります。
ここまで詰めたので、しばらくはこのレンズを使いつつ、次なるアイディアを煮詰めてみたいと考えております。


[ピンホールレンズ: 第4世代、試写の撮影風景]
PinholeLens_G04b

テーマ : ★カメラ&レンズ・機材
ジャンル : 写真

tag : Camera.Leica-D3 Lens.HandmadePinhole Films.PORTRA400 Films.Kodak-TMAX400 Films.ROLLEI-RETRO400S 街.大森・蒲田 Camera.Olympus-PEN-E 形.ピンホール写真

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