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Zeiss沼96丁目

Nicca3L-01g


キーワードは進化過程。





[Nicca 3L]
Nicca3L-01f


ニッカ3L、1958年頃のニッカカメラ社の製品です。

ニッカと言えば、戦中からコピーライカを製造していた日本のメーカ。小生が知っていたのは、例えばタイプ3など、ライカの3型にそっくりの外観のカメラ群。この形しかないのかな、と思っておりました。文献では4型、5型とそのバルナックライカの外観でタイプ5、3Fと1958年頃まで進化したとのこと。3Fのレバー巻上げ、ホント、かっこいいですよね。なにより回転ノブ式より即写性が増して、ファインダーから眼を外さなくてもシャッターチャージができるという点で、使い勝手が進化している形になろうかと。

そんな折、小生のとある勘違いから、ライカスクリューマウント(L39、バルナックタイプ)のカメラを探していました。
本題を外れますが、先にその勘違いを説明しておきます。それは、ピンホール写真を撮影していたときに気づいたのですが、Zeiss Ikonを使って16秒などの長時間露光した写真に画面の左右が光漏れを起こしたようなニジミが発生していたのです。その状況は後刻エントリするピンホールレンズ製作記で詳説しようと考えていますが、最初何なのか、それも自作したピンホールレンズが悪いぐらいにしか思えず、正体がよく分かりませんでした。それでも数回 Zeiss Ikon を使ったピンホール写真撮影をしてなんとなく気づいてきたのです、もしかしたら電子制御縦走りシャッターが原因なのではないかと。そこで、機械シャッター機であるライカM3で撮影してみたら、なんともクリアなピンホール写真が撮影できたのですね。やっぱりそうか、シャッターが原因だったか、と。ピンホールレンズなので正確な距離計やら、うっとりするようなファインダーは不要。そこで、手許にあるライカD3を使ってみようと思ったら、シャッタースピード調整にはT(タイム、シャッター開きっぱなし)しかありません。確かにシャッターは開きっぱなしで、スローシャッターのノブを1(1/1秒)にでもしないと、それでも閉じるまでに更に1秒かかって閉まります。これでは時間調整ができない、と。小生は知りませんでしたTしか記述のないライカのバルブ(B、シャッターボタンを押している間だけシャッターが開く)撮影方法を。そこを大きく勘違いして、ライカスクリューマウントのカメラで距離計とファインダーはそれなりでよいカメラを探そうと考えていたのです。
ちなみに、バルナックライカでバルブ撮影する設定方法は....、ご存知のことと思いますが念のため....、ライカD3であればメインのシャッターダイヤルをZに、スローシャッター側を最速20(1/20秒)に設定するとバルブ撮影なります。スローシャッター側のガバナーが効かないようにする、というのがヒントですかね。実は、このことをこのニッカカメラを手に入れてから、少したって気づいたのですね。このニッカもBにしてもスローシャッター側の設定が30(1/30秒)以外の位置にあると、シャッターボタンを戻した後に、スローシャッター側の設定時間経過後(例えば、15なら1/15秒後)にシャッターが閉まります。

閑話休題。

適度な価格の機械式シャッターの備わったライカスクリューマウントのカメラが欲しいところだな、と思っていたのですね。そんな折、にこのカメラがネットショップの新着として紹介されていました。とはいえ、それを見つけた時には、ライカスクリューマウントの機体でBという表示も見受けられるしピンホール写真撮影には使えるようだな、というぐらいしか認識しておらず、レンズも付いていることもあり、値段が当初のご予算からは大きく上に外れておりました。ところが、このカメラがなかなか珍しいカメラであることを知るにはそれほど時間はかかりませんでした。いわく、1958年製であること、これを発売した翌年1959年にはニッカカメラ社はヤシカ社に買収され、同機は別名で Nicca と Yashica のダブルネームで発売されていたこと、この機体として販売されたのは2000台程度であり、やや先行して発売されたライカM3(発売は1954年から)の意匠に大きく受けていること、などなど。ちょっと調べると当時の広告が見つかりました。1959年当時のカメラ雑誌の記事だそうですが、35,000円と書かれていますね。公務員初任給が約1万円との話しもありますので、今の価格だと50万円ぐらいになるのでしょうか。一方のライカM3はレンズセットで新発売当時は20万円以上とのことですので、「待望の最高級カメラがお手軽にお求めになれます」とのキャッチコピーもまんざら誇大ではないかな、と....
そんなある意味レアなカメラ、ネットショップの出品リストから1週間経ってもなくなりませんでした。それとなく注目していたのですが、出品リスト掲載後約3週間経ったある日、お店に見に行きました。まだこの頃は上述の勘違いをしたままです。ショーウインドウから出してもらい、品定め。まあ、こういう時って、もうある行動に抗いがたい気持ちになりますよね....
というわけで、入手した次第。

いつもながら長い前置きでしが、レアな機体ということもあり、細部も含めて、進化過程をキーワードに少々紙面を使って見てみたいと思います。
まずは正面から。


[Nicca 3L: 正面]
Nicca3L-01b


マウントは上述の通り、ライカスクリューマウント(L39、バルナック)、ボディーに対して6:4の位置辺りに据えられています。ライカM3の意匠から影響を受けたとされていますが、グッタペルタ(張り革)と軍艦部のバランスがニッカの方が背が高い、というか、間が抜けているようにも見えますね。とはいえ、スクエアな投影形状は当時としては新しい感覚、数年前に世界に衝撃をもたらした最新型カメラであるライカM3に酷似すらしていると言ってもよい目新しさ、形而上の進化が認められますね。
その軍艦部分中央には距離計の丸い窓、四角い枠取りされたブライトフレーム用明り取り窓が向かって左、そのとなりにファインダーがすっきりと配されています。スローシャッター用シャッタースピード選択ノブがあり、マウントとそのノブ部分だけ見るとバルナックライカの組み合わせ、つまり進化形以前になろうかと。ライカM3にはスローシャッターのノブはありませんからね。
軍艦部上面には、シャッターボタンとフィルムカウンター、フィルムリリースボタン、シャッタースピード選択ノブ、アクセサリーシュー、フィルム巻き戻しノブが、これもすっきりと配されています。
ブライトフレーム用明り取り窓とファインダーは黒く縁取られ、黒い部分は軍艦部上面にまで伸びていて、ひさしのようにちょっとだけ前面に張り出しています、まるでファインダーに小手をかざしたように。ちょっとだけ近未来的な黒い窓、これはライカM3にはないニッカ3L独自の進化になろうかと。
しっかりとした造りであることは外観を見ただけでも想像がつくのですが、そのしっかり感は本体を実際に手に取るといっそう確実になります。それは、単純にニッカ3Lは重いのです。工業製品ですので、ある程度のバラツキはあるかは思いますが手元のはかりで測定してみると、小生のこのニッカ3L本体の重さは 583g、小生の所有するライカM3は 574g、ちなみに、同ライカD3は 409g となりました。ライカM3より 10g重い、ライカD3と比べると 174gも重いことになります。重さは質を表している、ということをどこかで聞いたことがあるように思いますが、それにしても重い....


[Nicca 3L: 裏面]
Nicca3L-01c


シャッターレバーは裏面の正面から見ると軍艦部に隠れるような位置にあります。反対側にはファインダー窓。
下部の丸い部分は、使っているフィルムをメモして置ける機能。画面ではASAが黒い文字で400、その下の小さい窓には36と撮影可能枚数があります。ASAについては赤い文字もあって、モノクロフィルム=黒文字、カラーフィルム=赤文字と選択できるようになっています。また撮影可能枚数は、E(入っていない、Emptyの意かと)と20、36の3種類になっています。この位置にフィルムメモがあるのはライカM3も同じになりますが、枚数やら窓表示する等の独自の工夫がなされています。ユーザーフレンドリーなのか、豪華仕様なのか、もしかしたらライカM3への対抗意識なのかもしれませんね。
ファインダーは f:50mm のブライトフレーム、やや黄色がかり、角の丸い、フレームが浮き上がります。ブライトフレームにはパララックス補正も組み込まれており、レンズを繰り出して近距離にするとフレームが右下に移動してきます。距離計の最近接は約90cm程度で、これまでのライカやコピーライカと同等の性能です。さすがにライカM3のように選択式ブライトフレームまでは組み込まれておらず、バルナックライカの単独ファンダー化にとどまっています。スクリューマウント採用ゆえの進化の限界とでも言いましょうか。フレームセレクターまでは用意しなかったようです。
また、距離計の虚像窓がマウントに近いため、太いレンズ、または、径の大きなレンズフードを使うと、虚像視野が遮られて薄くなったり見えなくなったりという事態になります。シャッタースピード機構(ガバナー)との位置関係からか、虚像窓はここが限界だったのかもしれませんが、もう少しだけでも外側に持ってきて欲しかったかな、と後世の小生は思ってしまうのです。

さて、フィルム巻上げノブは、軍艦部に張り付いて見えますが、親指をかけて次のように巻き上げます。


[Nicca 3L: フィルム巻上げノブ操作]
Nicca3L-01k


操作稼動範囲は約120度程度で、シングルストローク。やや重いのは年代ゆえでしょうか。
小生が手に入れたときには、巻き上げレバーが本体に当たりそうな部分、実際は当たりませんが、その部分に丸くくり抜いた革が貼ってありましたが、取り外して掃除しました。前のオーナー、その部分に小さくコツンができてしまったことが気になったのでしょうか。想定、持ち運んでいる際にレバーが押されて本体にエクボを作ってしまったのではないかと。
このカメラ正面から見て巻き上げレバーが見えない、というのは当時としては近未来的な形状に映ったのではないでしょうか。そのレバーも本体にヒタッと沿うような位置にあり、その後のフィルムカメラがライカM3の形状を遠くに感じるような形状になっていることからすると、独自の進化を遂げているというのは言い過ぎでしょうか。


[Nicca 3L: シャッタースピード調整ノブ(黒)]
Nicca3L-01e


シャッタースピードは、このノブを押し込んで指標に合わせます。この画像では60(1/60秒)を左側のアクセサリーシュー先端にある黒い指標にあわせたところ。これはバルナック型カメラを使ったことがある方ならご存知の通り、シャッターチャージをしてからノブを操作して指標に合わせる方法ですね。ニッカ3Lの場合には押し込んで設定する、というところが独自です。
シャッタースピード設定には、更に独自の工夫があります。


[Nicca 3L: シャッタースピード調整ノブ(赤)]
Nicca3L-01d


本体側に赤い指標らしきがあるのがお分かりになるでしょうか。これは、シャッターチャージ前にシャッタースピードを設定する際の指標です。画像では60(1/60秒)に設定されています。
なんともにくい工夫。想定、アクセサリシューに取り付けたアクセサリによっては黒い指標が隠れてしまうこともあるのでしょうか。黒い指標が隠れてしまってもシャッタースピードを設定するために本体側に、もうひとつの指標を準備しようという工夫。シャッターチャージ前にシャッタースピードが分かるということで、シャッターチャージ即シャッターという時にも対応しやすくなりますね。
シャッタースピードは 1/1000からの等倍になっていて、1/30以下はカメラ前面のノブも使います。ちなみに上述のバルブ撮影(B)の方法ですが、軍艦部のほうのメインノブをBに合わせ、カメラ前面のスローシャッター用サブノブは30にします。当初、Bにしていていもシャッターボタンを落としてから1秒かかってシャッターが閉じていたので、不思議に思って色々といじっていたら気づいたのです、サブノブが1(1/1秒)になっていたのを。サブノブを30にすると、果たして、シャッターボタンを戻したとたんシャッターが閉じるようになりました。ここでアレッと思ったのですね、ライカD3のことを。カメラボックスからライカD3を出して、メインノブをZに、サブノブを20にしたら....、できないと思っていたバルブ操作がライカD3でもできたのです。当たり前なのでしょうけれど.....、この勘違いがなければ、このニッカ3Lは小生の手許にはなかったということになりましょうか。
話を戻して、シャッタースピード設定について。気をつけたいのは、このメインノブでシャッタースピードを設定する際、しっかりとクリックを感じて位置合わせることかと。なんとなくユルく設定すると、適当なシャッタースピード、もしかしたら、バルブ相当=シャッターボタンを戻すタイミングでシャッターが閉じることになるようです。設定ヨイかヨシの手順で、少しだけスローに取り扱うのもクラシックカメラの楽しいところ言えるのではないでしょうか。
そして、なぜ押し込む方法をニッカ社の設計者は選択したのか。アクセサリシューに取り付け部が大きくて太いアクセサリを装着すると、バルナックライカのようにノブを引き上げることができなくなることを想定したのでしょうか....、小生の想像ではありますが。様々な使用用途を想定してカメラを使いやすくする、備えているという点で、よく造りこまれた進化を感じます。
一方、ニッカ3Lでは、シャッタースピードノブは、シャッターに応じて回転します。ニッカ3Lに先行して発売されているライカM3シャッタースピード設定ノブは回りませんが、ニッカ3Lではバルナックライカ以下同様にクルッと回ります。意匠はライカM3を意識して、機能の多くはまだバルナック。進化しきれなかった部分、とは言い過ぎでしょうか。実用上は回ろうが、関係ないですからね。


[Nicca 3L: フィルム巻き戻しノブ]
Nicca3L-01m


フィルムを巻き戻すには、軍艦部にあるノブ上面に描かれたオレンジの矢印の方向に回してノブを引き出すことから始まります。これは軍艦部上面をできるだけ平らにするための工夫のひとつと見ました。これまた近未来的な進化ですよね。
とはいえ、撮影最中に軍艦部を深く持って、この巻き戻しノブに指が触れたままシャッターチャージすると、フィルムが巻かれるにつれてこのノブが回ってスルスルと外に出てきてしまうのですね。ま、小生の使い方次第ということになるのでしょうけれど。ライカM3では、巻き戻しノブは2重になっていて、収納時の外リングはフリーになっていますよね。そこに指をかけていたとしても、シャッターチャージ時には何もない、という。意匠は独自で凝っているのですが、使い方にちょっと慣れが要るというところでしょうか。


[Nicca 3L: 裏フタ(ノッチとボッチ)]
Nicca3L-01o


それまでのライカ型カメラで最も使いにくかった部分と言っても過言ではないのが、フィルム装填。フィルムがシャッターの後ろにきちんと来ているのか、巻き上げにかかわるスプロケット歯にパーフォレーションはしっかりと噛み込んでいるのか、スローシャッターのギアにフィルムがはさまったりはしていないか、この疑心暗鬼を振り払う技術・技能=お作法を獲得した者が写真を撮影することができるというのが、前時代のカメラだったのかもしれません。
ライカM3では大胆にも裏フタを開けられる構造を取り入れることで、お作法ではなく手順に高めることを実現しました。開けられるということは、光漏れの危険もあるものの、巧みなはめ込み構造により作法ではなく、自動的に、気にしなくてもよいという作り込みで、フィルム装填作業を手順にまで高めることができたと思います。底板を取り付ける時に裏フタを押さえるというお作法だけを残して。ライカM3では裏フタで固定する構造になっており、底板をはめるまで裏フタはブラブラとしていますからね。
後発だからこそできたとは言い過ぎかもしれませんが、ニッカ3Lではノッチとボッチが備えられ、裏フタはブラブラとしません。すごい....
裏フタを開けるには、裏フタ底面にあるへこみに爪を掛けます。フィルムがレールの上に乗っていること、スプロケット歯にパーフォレーションがかんでいることを確認して、ここまではライカM3も同じですね、裏フタを戻してノッチがボッチにはまることで裏フタはブラブラとせず、どんな姿勢でも裏フタを容易に閉めることができます。ちょっとしたことですが、使い勝手の向上という点では確実に進化しているな、と。


[Nicca 3L: 裏フタ(開口)]
Nicca3L-01n


惜しむらくはこの裏フタ、巻き上げレバーと競って完全オープンにならない、目測95度までしか開かないことでしょうか。この角度だとフィルム装填時に少し揺らしただけでも閉じて来てしまいます。巻き上げレバーを少し操作することで、スプロケット歯へのパーフォレーション噛み込みを確実にする際に、カタッと裏フタは向こう側に倒れ込み、目測120度ぐらいまで開くことになりますが、今度は巻き上げレバーが戻りきらないというジレンマ。造り込み(進化)の途上と言えなくもない、というところでしょうか。


[Nicca 3L: 底板]
Nicca3L-01p


底板にはバルナックライカ同様の4インチほどフィルムをベロ状に切るようなインストラクションが記載されています。裏フタを開けられるようにしたにもかかわらず。ちなみにライカM3には本体側に描かれてはいますが、サイズまでは指定されていないですよね。


[Nicca 3L: 本体底部とスプール、底板]
Nicca3L-01q


底板を外すと「NICCA Ⅲ-L」と赤い商標が出てきます。かっこいいですよね。
巻き取りスプールは、これまたライカM3とほぼ同形。クロスのローレットや、底板の仕上がりもしっかりとしていますよね。

と、ここまでカメラ本体を中心に、その構造や機能、使い勝手からこれまでのコピーライカからの進化過程というキーワードでニッカ3Lを見てきました。確実にこれまでのカメラからの使い勝手の向上や近未来的な意匠という進化も認められる一方で、従来型の機能や構造を残している。当に、ニッカ3Lは進化過程を色々なところから感じ取れるカメラではないかと思った次第です。そこがまた愛着がわくポイントだったりして。


[Nicca 3L]
Nicca3L-01h



ここからは本体以外の部分を紹介したいと思います。
この画像にもあるとおり、このカメラは速写ケースが付属してきました。前のオーナーは速写ケースに入れて使用してきたとのことで、その速写ケースにも傷が付かないようにところどころに厚いゴム板が貼ってあったりと、綺麗にお使いの様子でした。裏フタを開けた画像をご覧いただければお分かりの通り、シャッター幕も大変綺麗。もしかしたら、修理にも出されていたのかと思うぐらい。内部のギアに埃は付着しておらず、機能もしっかり。極めつけは軍艦部の側面、通常ならストラップの金具で傷が付きそうな部分に傷ひとつ見つからないぐらいの綺麗さ。
とはいえ、速写ケースはそれ相応の痛み具合だし、入れて持ち運ぶのは結構かさばるので、今後は本体にストラップを取り付けて使いたいと思っているのですね。小生はカメラは実用を想定していますので、入手後の外観の綺麗さにはあまりこだわりがないのですが....、お店の人が強くダメだしするので....、普通のストラップリングを覆い被せるようなストラップを自作しました。


[Nicca 3L: 自作ストラップ]
Nicca3L-01x


ストラップ本体の細い方の革は幅5mm、カバーになる太い方は10mm。カバーにストラップとリングが通るスリット穴を加工、予めストラップに通した後にストラップにカシメ1発でリングを取り付けます。本体にはカバーのスリットからリングを出して装着、カバーのおかげでリングはカメラ本体側面には直接当たりません。今回は着想を試行錯誤しつつ具現化したので、特にスリットのカッター刃を入れる方向を一部雑に入れたためそのうちスリット穴がはじけてしまうかもしれません。それに最大の難点は、カバー部分が太すぎることです。フィルム巻上げ時にレバーが操作しづらくなるぐらい....
今後はストラップ幅を細く、と言っても上述の通り重いのであまり細くはできませんが、丸断面(レース)にするなどして細身に仕上げてみたいと考えております。


[Nikkor HC 50/2 (L)]
Nicca3L-01r


今回本体と同時に手に入れたのは、Nikkor HC 50/2 (L) です。いわゆる黒帯と呼ばれる絞り指標のプレートが黒く白文字のタイプ。1946年に登場した同型レンズとしてのニッカ社に供給したライカスクリューマウントレンズの最終形状。一説には Nikkor SC 50/1.4 よりも絞り開放(F=2のときのことと思われる)解像度が高いとも(出典:レンジファインダーカメラ ニコンS型専用ページ)。この次に作例をいくつか紹介させていただきますが、すっきりしたそつないレンズなのではないかと思いました。そして、このレンズも焦点距離 1mの軽いクリックストップの先、最近接45cmまで繰り出すことができます。ただし、距離計には連動しませんし、本体ファインダーとの視差(パララックス)の考慮が必要、そして、被写界深度の浅さに注意、ということになります。ホント、ファインダー視野から大きく下にズレますし、手持ち撮影では間違いなくしっかりと絞らないとピントがどこに合っているのか分からない写真を量産してしまいます。
そして、このレンズも重い、のです。この黒帯 Nikkor HC 50/2 (L) は 218gあります。同ゾナータイプの Nikkor SC 50/1.4 (L) は 274g、ライカD3に付けっぱなしの Leitz Elmar 50/3.5 (L、沈胴) は 112gです。ということは、ニッカ3Lに黒帯Nikkor HC 50/2 を装着すると少なくとも 801gとなり、ライカD3 に Elmar 50/3.5 (L) の 521gを大きく上回ります。その差 280gとなり、缶コーヒーのロング缶(250cc)とほぼ同じような重さになります。つい、ライカD3を持ち出したくなりますよね....
なお、蛇足ながら、ニコンS型が網羅的に取りまとめられていて、時々参考にしていた「レンジファインダーカメラ ニコンS型専用ページ(ニコンS型 データベース) ~S専~」が今探すと見当たりませんね。残念....、たまたま印刷していた資料は保存版ですね。
蛇足ついでに、付属してきたフードがレアモノっぽいですね。NIKKOREX 5cm 1:2.5 と銘打たれたプラスチックのフード、フィルター径はレンズに合わせて40.5mmのアルミ製のリングが付けられています。ネットで検索してみるとこの金属リングは付いていないタイプが見つかりましたので、わざわざアルミリングを作られたのでしょうか。ちょっと謎です。とはいえ、上述の通りこれぐらい細身のフードでないと距離計を遮ってしまうのですね、実は。ということは、前オーナーはこのカメラとレンズをしっかり使っていたということなのかな、と想像しております。


[Nicca 3L + Nikkor HC 50/2(L) の試写より: 1]
Nicca3L-01s
Nicca 3L + Nikkor HC 50/2(L), Kodak T-MAX 400 (100ft)
Self Development
Scanner: CanoScan 9000F + Silverfast SE plus


F=8、SS=1/125 あたりではなかったかと思いますが、淡々と写している、と思うのですよね。こんな作例で言い切ってしまってはなんですが。こんな、といっては失礼ですが、こんな場所でもチャッと合わせて、チャッと撮れる。そんなカメラでもあるんですよね。いたって普通。
シャッタースピードが 1/1000秒まであるので、絞りを少し開けてみましょうか。


[Nicca 3L + Nikkor HC 50/2(L) の試写より: 2]
Nicca3L-01t
Nicca 3L + Nikkor HC 50/2(L), Kodak T-MAX 400 (100ft)
Self Development
Scanner: CanoScan 9000F + Silverfast SE plus


F=5.6、SS=1/1000 だったと思います。ボケもスムーズに周囲ににじみ、何より飲み口が際立って見えるし、その金属光沢感がいいな、と。
近接能力もあると紹介したので....


[Nicca 3L + Nikkor HC 50/2(L) の試写より: 3]
Nicca3L-01u
Nicca 3L + Nikkor HC 50/2(L), Kodak T-MAX 400 (100ft)
Self Development
Scanner: CanoScan 9000F + Silverfast SE plus


距離にして約60cm、F=8、SS=1/250 だったと思います。測距は電球表面、ファインダー視野の中央にその電球を置いたはずなのですが....
実際のピントは傘の向こう側、電球は画面上方に写っていますね。焦点は10cmぐらい遠くに、フレームも10cmぐらい下にずれていることになろうかと。測距して、フレームで構図を作るときにズレたのかな....、ま、修行が足りないという範疇になりましょうか。
全景はこんな感じのところです。


[Nicca 3L + Nikkor HC 50/2(L) の試写より: 4]
Nicca3L-01v
Nicca 3L + Nikkor HC 50/2(L), Kodak T-MAX 400 (100ft)
Self Development
Scanner: CanoScan 9000F + Silverfast SE plus


距離計とブライトフレームのパララックス補正が効く約1mのところから、絞りとシャッタースピードは同じ(F=8、SS=1/250)、ピントは電球を右下に置いたところ。
試写の最後は、スローシャッターのテストをしたカット。


[Nicca 3L + Nikkor HC 50/2(L) の試写より: 5]
Nicca3L-01w
Nicca 3L + Nikkor HC 50/2(L), Kodak T-MAX 400 (100ft)
Self Development
Scanner: CanoScan 9000F + Silverfast SE plus


ISO400のフィルムを詰めてきたので、1/30以下になるような場所を探していたら、最後のカットになってしまいました。F=16 の SS=1/30、距離は60cm。これぐらい絞ると近接撮影でもある程度の場所まではピントが合おうというもの....。あ、スローシャッターも間違いなく動作しておりました。


[Leica D3、Nicca 3L、Leica M3]
Nicca3L-01i


さて、まとめ。
とても些細な小生のとある勘違いから手に入れることになったニッカ3L。単なるレアさだけでなく、その前後のライカカメラと比べて細部を比べると、色々なことが見えてきます。一部はライカがバルナック型からM型に進化した部分を取り入れて自らのコピーライカも進化させたところがあり、それだけでなく、日本のカメラメーカとして独自の視点で改良を重ね進化したところがある、その一方で、やっぱり進化させずに従来のバルナックライカコピー部分を踏襲させた部分もあるという、当に進化過程を手に取るように追えるようなカメラなのだなと。
ということで、本家バルナック型とM型ライカの途中にニッカ3Lを置いて記念撮影と決め込んだ次第。
レンズも付けて、もう一枚。ライカMマウントのライカ純正の標準レンズを所有していないので、ニッコールつながりのレンズで失礼します。


[Leica D3、Nicca 3L、Leica M3]
Nicca3L-01j



最後はお決まりのカメラ・レンズマップ。
Nicca3L-01a

テーマ : ★カメラ&レンズ・機材
ジャンル : 写真

tag : Camera.Nicca3L Lens.NikkorHC50/2L Films.Kodak-TMAX400

コメント

非公開コメント

凄くかっこいいカメラですね!なんとなく昔のライカMD風だったり...
私は重厚感ある、重いカメラが好きなのでとても興味持ちました!

Re: タイトルなし

YOUさん、コメントありがとうございます。

> 凄くかっこいいカメラですね!なんとなく昔のライカMD風だったり...

ありがとうございます。
確かにMDに面影が似ていますね。

> 私は重厚感ある、重いカメラが好きなのでとても興味持ちました!

ホント、重いですよ。
色々な機能がついておらず、すっきりとしたところもカッコいいと思っております。

No title

自己レスです。

先日、とある研究会で本機を持参したところ、情報をいただきました。
・このカメラのデザインは、由良玲吉さん(ネスカフェゴールドブレンド のCMで違いの分かる男として登場した由良拓也さんのお父様)とのこと
・ネットで検索すると既に画像が出てきませんが、以下のサイトが見つかりました
 http://transphase-d.jugem.jp/?page=0&cid=6
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