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Run! #12 - Cyanotype Print

[Run! #12 - Cyanotype Print]
CyanotypePrint03aa
(画像をクリックすると Flickr で縮小前の画像をごらんいただけます)
オリジナルはこちら


ここのところいれあげているサイアノタイプ、前回のエントリまでに最大ポイントである露光時間をどう決めるかについてまで準備が整いました。
最後の章は、プリントプロセスに従って説明したいと思います。






プリント・プロセスは色々なところに記載されていますので、一部簡略に記載するところもあります。また、教科書のように絵や写真入りではなく文字中心になってしまいました。その点、ご容赦いただければ。


<薬剤の準備>
薬剤はクエン酸鉄アンモニウム赤血塩(せっけつえん、フェリシアン化カリウム)になります。
どちらも正確に調合する必要がありますので、この際なので、精密デジタルスケールを手に入れてしまいました。精度と耐久性は不明ですが、値段が値段なので使い倒すつもりです。
正確に計量した薬剤を精製水で溶融します。分量的にはクエン酸鉄アンモン25gを精製水100ccで、赤血塩10gを同じく100ccで別々に溶解します。この状態では感光性を持ちませんが、念のため遮光瓶に入れて冷暗所にて保管します。使用時には塗布面積に応じて同量を混合させて塗布します。
ということで、邪道な方法としてお教えいただいたのではありますが、小生はこの2液をあらかじめ混合してしまい、遮光瓶(写真の現像液を保管する茶色プラスチックの容器)に入れてしまい、冷暗所に保管しています。後述する240×300mmの用紙1枚に塗布する液量は約3-5ccのようですので、100+100=200cc で約40枚分となり、まあこれぐらいなら腐らない(?)程度に消費できそうですので。


<用紙>
これは教えていただいた方のお勧めである、キャンソン社のムーラン・ドゥ・ロワ水彩紙パッド だけです。結構値段が高いので、同社の廉価版と思われるヴィダロン水彩紙パッドを試してみたのですが....、仕上がり具合が全然違ってしまいました。紙の数値と製造方法は同じに見えるのですが、ヴィダロンの方は漉いた後と思われるプツプツが目立ってしまいました。もうちょっと工夫すればヴィダロンも使いこなせるのかもしれませんね。
紙によって仕上がり具合が大きく異なると聞いていますし、露光条件も大きく変ってくると思うので、ここを詰めるのは、今後の課題といか楽しみにしたいと考えています。


<薬剤の塗布と乾燥>
塗布は直射日光を避けた場所で行います。乾くと感光性を持つようになりますので、暗い場所で乾燥させます。
塗布は、上述の薬液を小さな入れ物に小出しにして、幅広タイプの刷毛で満遍なく塗ります。塗るというか、染み込ませるという意識で塗布します。
作業は直射日光を避けるとなると夜間の室内で行うことを思いつきますが、蛍光灯は紫外線が出ていますので、ちょっとだけ注意ですね。LED灯であれば問題はないかと。小生はよく晴れた日中でも薄暗い(!)、半地下の書斎でプリントの前日に塗って、遮光カーテンで閉じたエリアで乾燥させます。
乾燥時間に関しては、予備試験の結果から12時間以上としました。前日晩に支度しておけば、十分乾燥時間は確保できる、ということですね。


<ネガシートの準備>
ネガシートはピクトリコ社デジタルネガフィルムTPS100 を使っています。
プリンタは Canonインクジェットプリンター PIXUS iP8730 を使っています。インクは染料になります。顔料の方がいいと教えていただいたのですが、普通の写真印刷のことを考えて、今回は染料インクのこの機にしました。
デジタルネガの作成プロセスは、永嶋勝美さんの「デジタルと銀塩の融合「DGSM Print」 第1回」が大変参考になります。というか、全くこの方法で作成しています。とはいえ、今のところトーンの調整は別段行っておらず、Photoshop のオート機能で済ませています。サイアノタイプに向いたトーンの作り方、なんてのもあるのでしょうね。それも今後の楽しみに取っておきます。
お恥ずかしながら、小生は当初、ここで大きな間違いをしてしまいました。それは、密着焼きの基本ともいえるネガシートを「反転」させなかったのです。後述するネガのセット時にネガの密着がポイントになるのですが、そのためにはネガの印面を用紙側に持ってこなければならないのです。実は、当初、ネガシートを「ポジ」、つまり、印面を表(外側)にしてプリントしていました。だって、印面が用紙の乾いた薬剤に触れたらネガシートの印面インクが傷ついてしまうと考えていたんですね、印面ではない方に用紙を押し当てる。そして出来上がったプリントからはピントのズレは気づいていませんでした。これまでピントの極端に浅い写真を焼いていなかったからでしょうか。ところが色々と教えてもらっているところで、小生の方法が根本的に間違っていると知って、恥ずかしくなってしまいましたよ....
というわけで、印刷するときにはネガシートを「ネガ」にして印刷してくださいね。小生が使っている Photoshopだと、プリント設定のその他の機能に「膜面」がありますので、そこにチェックして印刷をかけてくださいね。


<ネガシートのセット>
小生は用紙をしっかりと保持するために廉価な額を分解して、背板と透明プラスチック板のみを流用しています。密着には衣類圧縮袋、掃除機で吸うタイプを用います。今のところ用紙サイズが240×300mmですので、A4より大きくB3より小さい程度。この程度の大きさの掃除機で吸うタイプ衣類圧縮袋は実は多くなく、100円ショップの廉価版を使っています。とはいえ、廉価版だけあって、4回ぐらい使うとどこかが劣化してきて、掃除機で吸っても負圧がキープできなくなります。値段からして負圧がキープできなくなった時点でお取替え、ということでも致し方ないのかな、と。
先の額を分解した背板に薬液を塗布して乾燥させた用紙を載せ、その上にネガシート、その上から額を分解した透明プラスチック板をかぶせ、衣類圧縮袋に入れます。上述の通り、ネガシートは印面を用紙側にしてセットします。掃除機で吸って、ネガシートと用紙を密着させます。先ほど述べたとおり、圧縮袋の負圧キープ状態を再度確認して、露光へ進めます。


<現像の準備>
おっと、露光の前に現像の準備があります。小生はいまのところ洗面台で行っています。
まず、準備するのは先ほどの用紙が入るぐらいのプラスチックバット。100円ショップで水切りバットの受けとして丁度良い深さのバットを見つけました。底面には楕円形のでっぱりがいくつか配置されていて、用紙の水洗時に水が通って具合がいいです。洗面台にセット。
現像液としてクエン酸溶液を準備します。クエン酸はこれも100円ショップで台所掃除用として手に入るもの。これを大まか20g計量しておいて、2リットルの水道水に溶きます。この2リットルが現像1回分になります。つまりプリントする用紙の枚数だけ、20gに小分けしたクエン酸を準備することになります。
もうひとつは過酸化ナトリウム溶液。クエン酸溶液浴での現像後、いわば定着液の代わりとして使用します。紺青色が要らない部分の漂白とコントラスト強化というところでしょうか。強すぎるとせっかく着色した部分も持って行かれてしまいますので、注意です。
更に注意なのは、前段でクエン酸を使っていますので、塩素系の漂白剤は絶対に使わないでください! 猛毒の塩素ガスが発生します!
よって、過酸化ナトリウム系の漂白剤が必須です。で、この過酸化ナトリウム漂白剤も100円ショップで台所用漂白剤として入手できます。その過酸化水素ナトリウムを大まか0.5g計量しておいて、1リットルの水道水に溶かします。溶かしますといっても、なかなかとけないので、菜ばしなどでガチャガチャと一生懸命にかき混ぜて溶かしておきます。この1リットルの過酸化ナトリウム溶液で用紙4枚から5枚は使えるのではないでしょうか。
用紙を露光させる前に現像場所を確保、現像等に使用する溶液2種類と現像に用いるバットをセットしておきます。
ちなみにこのような薬液は弱酸性・弱アルカリ性なので、水道水のアルカリ度にも影響受ける可能性もあります。念のため、リトマス試験紙を手に入れて水道水をかけてみたら、赤リトマス試験紙が薄く青く、ホントに薄く青くなりました。よって、中性から弱アルカリ性となりました。東京都水道局のホームページでも平均7.6なんて書かれていますので、それ相当ということになりましょうか。これぐらいなら溶液への影響はないでしょうし、水洗後の紙の劣化もそれほど気にしなく良かろう、と。


<露光から現像まで>
やっと、露光です。
前回までに求めておいたアタリを元に露光時間の間、ネガシート越しに用紙を太陽からの紫外線にさらします。
紫外線強度計とキッチンタイマー、メモ用紙とペン、そして電卓。
紫外線強度をできるだけ強い方向にネガシートを仕込んだセットを置きます。セットした面に紫外線強度計を置いて、自分の影が差さないように紫外線強度を読み、概ねアタリに近くなるような露光時間を計算しておきます。用紙を覆っていた板を取り外し、同時にキッチンタイマーをスタート、20秒毎に紫外線強度を読みます。電卓で紫外線照射量を計算しつつアタリである積算 300mW/cm2 sec に近づくまで露光します。電卓で掛け算とメモリ加算するのもローテク過ぎるので、久しぶりにプログラム電卓でも手に入れようかな.....
で、必要紫外線照射量に達したところで板で用紙を覆い、セットごとひっくり返します。更なる紫外線照射を極力抑えるためですね。気休めぐらいにしかなりませんけれど。
可及的速やかに室内に戻り圧縮袋の負圧を解いて、中から用紙を取り出します。ネガシートのあたっていない部分、紫外線が直接当たっていたところがなんともいえない青とクリーム色が混ざったような色になって、紫外線による化学反応が起きていることが分かると思います。それに見とれていないで、現像場所である洗面台に移動します。


<現像>
まずは用紙を露光面を上向きにしてバットに納め、クエン酸を流し込みます。2リットルを一気に。そして、キッチンタイマーをオン。
特に紫外線に強く晒された部分から青いニジミが出てくることが見えてくると思います。それを少々指で、用紙に触れない程度にクエン酸溶液法をかき混ぜます。それは、そのままその青い成分がにじんだままにしておくと、着色していない白の部分にその青い成分が染み込んでしまい、出来上がりが汚くなってしまうのを防ぐためです。あまりしつこく、青い成分を散らすために用紙に触るぐらい強くすると、今度はせっかく着色した紺青成分が取れてしまいます。力加減がポイントかと。
そんなことをしているうち、露光したての用紙ではぼやけていた像がだんだんとはっきりと見えてくるようになります。このジンワリと像がはっきりとしてくる瞬間、なんともいえない高揚感を感じます。プリントの楽しみってコレなんだなぁ、と実感する瞬間でもあります。あまり見とれていると時間が経過しすぎてしまいますので、要注意ですね。
クエン酸液浴は概ね2分間。用紙を持ち上げ、バットから若干青くなったクエン酸液を流します。
次は水洗です。今度は露光した面を下にして、青い液が出なくなる程度にまで流水を流します。面を下にしたのは水洗の水流が露光面に直接かかることで着色が飛んでしまうことを防ぐためです。
青い液がでなくなったと思えるぐらい水洗したら、また露光した面を上にして、過酸化ナトリウム水溶液を用紙に振り掛けます。流し込むというより、ヒタヒタになる程度まで注ぐといった感じ。1リットル作ってあるはずですから、200cc程度になりましょうか。溶液を入れてからバット毎左右にゆすります。時間にして1分程度。漂白具合を見つつ、1分にこだわらず中止します。
用紙を持ち上げ、バットに残った過酸化ナトリウム溶液を流し、また露光面を下にして、水道水で水洗します。また青い液が出てくるかと思います。それが出なくなり、もういいかな程度に水をかけつつ、バットをゆすったりして水洗します。その後、流水で10分程度の放置水洗をして完了です。
水洗後は天日干し、ですね。あまり強い日で乾燥させると曲がりも強くなりますので、やんわりと日陰干しがよろしいかと。
干して反った用紙は、フラットニング。小生はズボンプレッサーで。これはフィルムを月に1本使うの会のメンバーに教えていただきました。


<プリントのデジタル化>
プリントした写真の公開方法、思いつくところはスキャナーでデジタル化するか、デジカメで撮影するかですね。
デジカメで撮影する場合、撮影するときの光のあて具合や何より並行を上手く処理しないと、影ができてしまったり変なキーストーン形状に撮影されてしまったりと役立たずな画像になってしまいます。という点では、スキャナーでデジタル化が手っ取り早いのかな、と。
今回の写真はいずれもスキャナーでスキャンした画像でトリミングやトーンを微調整した写真になります。


さて、3回にわたってつづってきたサイアノタイプによる写真の用紙へのプリント、いかがだったでしょうか。
サイアノタイプ・プリント、まだまだ入り口に立ったばかり。
これからもいくつも失敗したり、改善したりで楽しんでゆきたいと考えています。

繰り返しになりましたが、ここまでご支援いただいた皆様に感謝申し上げると共に、今後ともご指導、ご鞭撻いただきたく。

よろしくお願い申し上げます。


[サイアノタイプ・プリントのフラットニング風景]
CyanotypePrint03b

テーマ : ★カメラ&レンズ・機材
ジャンル : 写真

tag : 形.サイアノタイプ

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