FC2ブログ

Coffee Break #7 - Cyanotype Print

[Coffee Break #7 - Cyanotype Print]
CyanotypePrint02aa
(画像をクリックすると Flickr で縮小前の画像をごらんいただけます)
オリジナルはこちら


ここのところいれあげているサイアノタイプ、プリントまでの準備についてです。
2章目は、ポイントとなる露光条件を中心にエントリしたいと思います。





色々と教えてもらいつつ、機材を揃えます。フィルムの現像のときもそうだったのですが、最初は過剰に準備してしまうんですね、小生は。何回かやってみて、絞り込んでゆくタイプなんでしょうね。じっくりと煮詰めてからというより、ある程度でGOして、その後に詰めると言うスタイルなんだな、と。
というわけで、薬剤とプロセス概略をご教示いただいたところで、サイアノタイプによる紙面プリント、初回トライアル。結果的には露光オーバーすぎて真っ青というより、紺青色一面のプリントになってしまいました。つまり、プリントには露光管理が重要なんだな、と認識した次第。
そして、事前に準備していた用紙が尽きてしまったので、急遽、薬剤を塗ってすぐにヘアドライアで乾かして用紙を作成したのですが、この急場作成用紙を露光してクエン酸浴したら、せっかく感光して青くなった成分が紙面から遊離し、クエン酸液内に溶け出してしまいました。つまりこれは、薬剤を紙面に定着させることがポイントになり、薬剤を紙面に塗布してからある程度の時間をかけて紙組織内に染み込ませることがポイントと見ました。後先になりますが、薬剤の染み込ませについてはある程度の時間、つまり、塗布してから時間を確保すれば今のところ解決すると判断して、塗布後乾燥時間を12時間とることとしました。


さて、最重要課題の露光条件の管理です。


<着想>
近紫外線(315-380nm、UV-A)により還元反応されることで感光することから、紫外線「照射量」と着色「濃度」の関係を求めることで、適切な露出量、ひいては適正露出を得るための露出時間を設定することができると考えました。
具体的には、露出時間を変化させることで感材への紫外線照射量を変化させ、それぞれの現像後の着色程度を評価することになります。これはいわば、銀塩プリントプロセスにおける階段露光と同様になろうかと。


<準備: 紫外線照射量測定>
紫外線の照射量を計測する装置、これがなかなか見つからず、かつ、あっても途方もない値段なんですね、これが。まあ、用途としてはかなり特殊であるということは推測がつきますが、どうやら多くは半導体や電子基板などのフォトレジストの製造プロセス管理向けのよう。半導体....、装置が高くなっても仕方ないところでしょうか。
そこで、最も廉価な紫外線強度計を入手し、タイマーで計測しつつ掛け算と電卓合算(積分)で照射量を求めることとしました。あ、テスト時には電卓等叩いてなんかいませんよ、間に合いませんので。計時毎に紫外線強度をメモして、後刻、エクセルで計算しております。時間間隔は照射時間が短い時は10秒、普段・標準を20秒、長時間露光させる場合には30秒としました。この時間間隔の間は紫外線強度が保たれているという仮定をしています。
ちなみに、太陽は地球の自転により刻々と位置を変えていますので、露光させる用紙を天体観測などに用いる追尾システムにでも取り付けない限り、用紙に最大紫外線強度が得られる条件である紫外線を紙面垂直に降り注がせることを常時作り出すことはできません。つまり、自転による太陽の位置変化で紫外線強度も変化する、ということになります。これに気づくまでしばらくかかりました。空を眺めて太陽が雲に隠れていないにもかかわらず、紫外線強度が露出時間に従い徐々に変化するからです。最大方向に合わせてもだんだんと弱くなってくる.....、なぜって。紫外線強度測定器の特性、特にセンサーの特性もあるのでしょうけれど、斜め方向からの入射光に対しては、変化が大きくなるということになりそうです。場合によっては実紫外線照射量以上の紫外線を感材は吸収しているということになるかもしれません。ですので、太陽光を利用した露光は南中の時刻あたりがいい、ということになるのでしょうか。紫外線の強い時期である夏の南中時刻における屋外での露光作業....、ちと過酷な作業になるのではないかと....
ちなみに紫外線蛍光灯や紫外線LEDで照射器を作ることで露光環境は安定するはずです。そのうちそのような装置を導入することは考えているものの、今のところしばらくは太陽光で楽しんでみたいと考えています。どうやら紫外線蛍光灯や紫外線LEDは紫外線強度が弱く、露光に小一時間かかるようです。また、紫外線の平面均一性を考え出すと....、逆を考えると太陽がすごいということになりますね。如何に太陽が我々人間と感光紙に強く、かつ、平面的均一に紫外線(だけではないですが)を降り注いでいるかということを改めて気づかされた次第。


<準備: 着色具合(濃度)の数値化>
モノクロ写真プロセスを紹介しているところでは階段露光により好みの濃さを決めるとされています。事例として自分が焼きたいと思うネガで試し焼きをしてみる、というものですね。実際の写真だと、「好み」という判断基準で濃淡を決めることになりますが、小生が今回知りたいのは好みの前にどれぐらいなのかという「アタリ」をつけたいと考えました。つまり、このアタリを知ることで、もっとネガに応じた紺青色の濃淡を露光時間で調整したい、ということです。
とういことで、ネガとして白から黒にかけて4パターンを準備してみました。これを露光時間を変化させることで、紺青色に染まる程度である濃度を見てみようというということになります。パワーポイントで、白と黒、中間色としてパワーポイントの既成カラーセットにある「25%灰色、背景2」と「白、背景1、黒+基本色50%」を用意しました。名称を単純化するために、白、黒、灰25、灰50とします。
また、その変化具合である濃度は感覚に頼ることなく数値化を目指して、16段階の色見本を用意してみました。サイアノタイプの色である紺青色をレベル15に、無着色である白をレベル0 にして16分割します。この紺青色の再現が難しくて、当初、wikipediaにあった R:26、G:68、B:114、濃淡は透明度を変化さてパワーポイントの図形で準備、プリンタ側の色調節で印刷してみました。しかし、どうも色身が違うような....。テストはこれでやってみましたが、後刻、このエントリを作成している最中に色見本サイトというものを見つけて検索すると、紺青色(R:17、G:43、B:76)鉄紺(R:3、G:15、B:44)の方が近いことを知ることになりました。むむむー、もっと調べておくべきであった。
ともあれ、着色具合の色見本を作ることで、アタリの数値化を試みることとしました。


[濃度変化を見るためのグラディエーションチェックイメージ]
CyanotypePrint02b


<試験>
ここまで準備して、試験前日に用紙に薬液を塗布して準備、試験当日はドが付くぐらいのピーカン....、暑い。
予備試験で概ね3分程度の露光がよさそうだったので、その周辺を手厚くデータ測定することにして、6条件を3セット露光しました。キッチンタイマーで計時しつつ紫外線強度を計測しその値をメモ、時間が着たら、用紙に覆いをかけてゆきます。具体的には、1セット目は1-2-3-4-8-16分、2セット目は2-4-6-8-10-12分、3セット目は1-2-4-6-8-12分。あくまでデータ採取ですので、実プリントではありえない条件である1分間や16分間露光ということもしました。その間の紫外線強度は最高で2.23mW/cm2、最低で1.368mW/cm2でした。


[露光条件を求める試験最中風景]
CyanotypePrint02c



<データ分析>
上述試験で、露光した用紙を現像して、着色具合である濃度を見ます。
色々と途中のデータ集計はありますが、この試験で得られた結果である紫外線照射量と濃度の関係を示すグラフを次に示します。なお、紫外線照射量を表す単位系は通常は J であろうかと思いますが、この計測系及び今後の露光プロセスで取り扱いやすい mW/cm2 sec にしてあります。つまり、露光作業時の紫外線強度を紫外線強度計で計測(mW/cm2)することで、露光時間(sec)が計算できるということになります。


[紫外線照射量と濃度の関係グラフ]
CyanotypePrint02e


グラフを見ると黒は概ね紫外線照射量 300mW/cm2 sec でレベル15の紺青色になります。
一方、白は、紫外線照射量に従い濃度を増してゆきます。白はネガにすると真っ黒になり光を通さないはずですが、紫外線が黒く着色したネガシートを透過していることを示しています。ネガにおける黒い色は可視光を遮断するだけで、紫外線は通してしまうのでしょうね。紫外線をしっかりと遮断するのであれば、特殊な印刷をしなければならないのかもしれません。例えば、金属粉が混ざったような。これは一般家庭のプリンタではハードルが高すぎますね。相手が紫外線なので、可視光のネガとは違った考え方や調整が必要になるのでしょうね。むーん、奥が深いぞ....
それに、グラフには紫外線照射量と濃度が直線関係にあると仮定して直線を引いてありますが、あくまで目安です。薄めの灰色(灰25)や白のように薄めの色は、精度の問題はあるにしても、やや上に凸の二次曲線のように見えますものね。この紫外線透過と着色現象が線形ではないかもしれません。

とはいえ、いくつかの仮定をした上で目指すアタリを明確化するために、横軸である紫外線照射量を実際に使う範囲に拡大してみたのが次のグラフになります。


[紫外線照射量と濃度の関係グラフ(一部拡大)]
CyanotypePrint02f


黒が紺青になる紫外線照射量である 300mW/cm2 sec が最大濃度に到達することになりそうですから、アタリとしてはこの値:300mW/cm2 sec を目安として露光作業をすることにしたいと考えます。ちょっと濃い目なら1~2割り増しの330-360mW/cm2 sec、浅めにあっさりなら1割減の 270mW/cm2 sec になろうかと。あまり照射量がギリギリすぎると、現像作業でせっかく着色した紺青色成分が抜けてしまう可能性もあるので、照射量のさじ加減が要りそうです。ま、あくまでアタリということで。
このグラフ上は、上手くいくとレベル2からレベル15までの14段階ぐらいのグラディエーションが得られる、かも知れないということになりますね。紙の白色(着色前)が出せると、きっとメリハリが利いて格好良くなるんでしょうね。そこは今後少しずつ経験して詰めてみたいと考えています。


ここで注意です。
この測定結果は、小生が今回進めているプロセス=系(システム)での結果であり、このひとつが変化したらこのアタリの数値は使えません。

アタリという点でこのぐらいかな、というのはいいかもしれませんが、最大濃度である紺青色を出したいとなると、系によって異なることが予想されます。系の構成要素としては、次が挙げられると考えられます。
・薬液: 薬剤の純度、希釈割合、2薬剤の混合比
・用紙: 紙の種類、薬液塗布後最短乾燥時間
・デジタルネガシート: ネガシートの銘柄、印刷インク
・露光: 密着方法(次回に詳説)、紫外線強度計
・現像: クエン酸溶液濃度と処理時間、過酸化ナトリウム溶液濃度と処理時間、水道水のPHと水洗処理時間


ちなみに、露光プロセスの紹介の際に方法が詳しく述べますが、露光プロセスで使用する100円ショップで手に入れた額の透明プラスチック板により紫外線強度は約22%減衰し、衣類圧縮袋のビニールシートにより約8%ほど減衰、つまり、小生が採用している露光プロセスでは太陽光の紫外線強度の約30%が減衰した形でネガシートに当たっています。実際にはネガシートの濃淡で更に減衰して、紺青の濃淡が形成されるということになりますね。写真フィルムを直接密着焼きした場合には、このアタリ近辺で調整する必要も出てくるものと想像します。
また、今回は紫外線強度による変化はみていません。強い紫外線で短時間で露光するのと、照射線量値は同じでも弱い紫外線で長時間露光したプリントにもしかしたら差があるかもしれません。ここではそこに変化がないと仮定した上で進めています。そこを管理しようとしたら、上述のように紫外線蛍光灯などで露光器を自作ることが考えられます。


やっと、サイアノタイプ・プリントができる準備が整いました。
あっ、他にも準備しなければならないことが一杯あります。そこは、次のエントリでプリントプロセスに従って述べたいと思います。



[露光条件を求める試験最中風景]
CyanotypePrint02d

テーマ : ★カメラ&レンズ・機材
ジャンル : 写真

tag : 形.サイアノタイプ

コメント

非公開コメント

プロフィール

Weekend Outdoors

Author:Weekend Outdoors

検索フォーム
カレンダー
10 | 2019/11 | 12
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新記事
カテゴリ
タグ
最新コメント
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
参加しています
にほんブログ村