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Zeiss 沼86丁目

フィルム型式の名称にもなっているカメラ。






[Vest Pocket Kodak]
VestPocketKodak01a

1912年から1925年まで当時としては大ヒットしたカメラ、Vest Pocket Kodak です。
先日の Zeiss Ikon Super Ikonta 531/2 と一緒に譲っていただきました。

そのフィルムの俗称、いわゆるベスト判の由来ですね。フィルムのタイプとしては 127 と呼ぶそうです。
って、かなりドロナワ(笑)
さすがに自分で使うことになるとは思っていなかったので、この際、調べて何とか使えるようになろうかと。



[Vest Pocket Kodak : レンズ・シャッターユニット]
VestPocketKodak01b



まずは、カメラのことから。

いわゆる、ベス単と呼ばれるのは、この Vest Pocket Kodak でも初期のタイプのようで、このカメラのレンズ銘は、レンズの縁に次のように刻印されています。
KODAK ANASTIGMAT F=8
この刻印をキーワードとして検索してみると....
実は、あまり情報が出てきません(見つけられません)でした。
Wikipedia 以外にはコレがイチバン近いかな、というのはこのサイト。とはいえ、レンズは KODAK ANASTIGMAT F=7.7 とのこと。レンズ+シャッターユニットに記載されている内容もちょっと違います。小生のは、焦点距離すら記載されていません。
Wikipedia によれば、この KODAK ANASTIGMAT F=8 というレンズの焦点距離は f:84mm の4群4枚のレンズ、スペシャルと呼ばれた1914年頃の機体に搭載されたレンズとのコト。1914年、今から約100年前ですよ!
シャッターは3枚羽根で、「25、T、B、50」となっているのは、「1/25秒、タイム、バルブ、1/50秒」ですね。バルブで操作してみて分かったのですが、このシャッター全開しません。絞りを F=11 程度に絞ると隠れるぐらい残ってしまいます。絞り開放で撮影した結果では....、影響は認められませんでした。シャッタースピードは 1/25秒または 1/50秒でしたので、それこそ一瞬でもシャッターは開放になっているのだと推測されます。タイムやバルブ撮影だと、影響が出そうですね。
絞りは、最小(開放)が F=8、最大は F=32 まで目盛りが振られています。また、絞りの値に応じた用途が掲載されています。
もちろん(?)、ピントを合わす機構は無く、構図はビューファインダーで決めるようになっています。
これまで2本撮影した見た感じでは、ピントは概ね2mから3mほどにあるようです。F=16ぐらいにまで絞れば、大体よい感じでリアリティのある写真が撮れました。
ビューファインダーは....、はっきり言って見難い、です。掃除しても曇りが強く、晴れてコントラストのあるような被写体でも???。目を近づけるよりは、カメラをみぞおちのあたりに構えて、背筋を伸ばして下を覗き込むとなんとなく見えてきます。
どうやら、このビューファインダーの枠、十字になってますが、縦と横のそれぞれの撮影方向で、高さ方向フレーム一杯に被写体を置くとピントが合うように思えます。Vest Pocket Kodak をお使いの皆様、いかがでしょうか?


[Vest Pocket Kodak]
VestPocketKodak01j



次はフィルム。
ベスト判のフィルムは、なかなか見つからないのですが、我らがかわうそ商店さんが復活してくださいました!!
その名も Rera Pan (レラパン)、感度は ISO100。
Rera(レラ)とは、アイヌ語で風を意味するそうです。レア(Rare、珍しい)の反対かと思っていました(ごめんなさい)。
フィルムは手に入りました。現像は?、モノクロなら自分で現像したいけど道具は?
かわうそ商店さん店長さんに教えていただきました。Paterson の現像セットのリールであれば、127タイプフィルムが巻き取れて、現像できると。
早速お店に行ってみると、似たような形の現像タンクがあるぞ。と思ってよく見ていると、LPL が取り扱っている AP の現像タンクとのこと。どちらもプラスチックのリールとタンク、リールはオートロードといわれるようなフィルムの一端をリール外側に挿入後、リールをカシャカシャと動かすというか回すというかすると巻き取ってくれる仕組みになっているようです。大きさはわずかに AP の方が小さく、その製品名にも Compact と書かれています。形状としてはキャップあたりが AP の方がすんなりしている、でっぱりが無い、ということが挙げられるのかもしれません。現像液容量は127タイプに限って言えば Paterson は 550cc 、AP は 500cc。コンパクトのゆえんは、ここいらへんですかね。この現像液容量は、結構、効いてきますよ。何せ普段使用している現像液を一時貯める取っ手付きビーカの容量が500ccですから。550ccを貯めよう思うと、その上の 1000cc のビーカを用意しなければならないという(笑)
ということで、Paterson の現像タンクを求めに行って、AP のそれを手に入れてきました。わずかに安かったし :-p
入手したフィルムを1本、試しにカメラに装着して、フィルム番号が背面の窓からどのように表示されるのかを確認しつつ、全て巻き込み、フィルムだけをリールに巻き込んでみました。オートローディングとはこうなるのか.... これまで LPL の金属リールを愛用してきたので、相当新鮮です。カシャカシャ、クリクリとするとフィルムを巻き取ってくれます。127タイプだと再外周から数レーンぐらいしか巻き取ってくれません。ま、もとからそのぐらいのフィルム長さではあるのですが、このリールの大きさ、タンクの容量からすると、なんだかもったいないぐらい。あれ、ちょっと貧乏性ですかね(笑)
LPL の金属タンクのように倒立攪拌ではなく、攪拌棒でクリッと回すのも、なんだかちょっと頼りなさげ。プラスチックのリールはちょっと華奢な感じ。そして、タンクもプラスチックなので、現像時間中の温度管理が難しい(プラスチックの熱伝導率が悪いので)。一気に 500cc の現像液を使って、フィルム1本8コマしか現像できない....
なんて、色々と言っていますが、現状採りうる選択肢があるだけ善しとしましょう。



[Vest Pocket Kodak と 127フィルム、現像タンク、現像リール]
VestPocketKodak01d



さて、フィルムと現像タンクが手に入って、撮影→現像 ができる準備が整いました。これで写真を撮影するばかりなり。
撮影結果からいくつか掲載します。


[Vest Pocket Kodak / Kodak Anastigmat F8 試写1、絞り開放:F=8]
VestPocketKodak01f
Vest Pocket Kodak + Kodak Anastigmat F8, Rera Pan 100
Self-Development
Scanner: CanoScan 9000F + Silverfast SE plus


絞り開放:F=8、シャッタースピード:1/25秒 の撮影です。
暗い曇天の朝だったので、少し薄暗くて、ファインダーは注視してもよくわからず、はっきり言ってノーファインダーに近い撮影でした。
下方に見える過現像部分は、フィルムをカメラに装てんするときの失敗で、フィルムを抑える力を抜いてしまったら、フィルムの巻きが緩んでしまい、一部露光してしまったと言うことです。カメラの蛇腹やカメラボディからの光漏れではありません。
ごらんいただきたいのはピント、のぼりの文字がクッキリと写っているところです。
絞り開放:F=8 だからでしょうか、奥のピントは鳥居辺りまで。その奥の階段はピントがややあっておらず、ボケています。そのボケがなんともいい感じで、のぼりの立体感を更に増しているように思えます。上述したとおり、絞り開放でもシャッターが全開しないことの影響が認められません。
むむむ、それにしてもいいピント、いい表現力だなぁ、と(喜)

と、そこで、ちょっとした苦悩が....
小生は普段、フラットベッドタイプのスキャナー、Canoscan 9000F を使用しています。さすがにベスト判のフィルムマスクは無いわけで....
スキャナーガラス面に直接フィルムを置いて、反りやニュートンリングを予防するためにフィルムの上から無反射ガラスを載せてスキャンしています。そうなると、フィルム上のごみはフィルムだけでなく、無反射ガラスなどにも付いて、除去しきれないため、ごみが写りこんでしまいます。今後ベスト判フィルムをよく使うようになるのであれば、プラ板ででもフィルムマスクを作りたいな、と思っております。今回撮影のセットでは、ごみの写り込みはご容赦いただければ、ありたく。



[Vest Pocket Kodak / Kodak Anastigmat F8 試写2]
VestPocketKodak01g
Vest Pocket Kodak + Kodak Anastigmat F8, Rera Pan 100
Self-Development
Scanner: CanoScan 9000F + Silverfast SE plus


絞り:F=16、シャッタースピード:1/50秒 の撮影です。
F=16 にしても遠景のピントはやや合っていない、どちらかと言うと電信柱の描写がいい(笑)
遠景をクッキリと写すには、もっと絞らなければならない、つまり、光量がないと、と言うことになりますか。



[Vest Pocket Kodak / Kodak Anastigmat F8 試写3]
VestPocketKodak01h
Vest Pocket Kodak + Kodak Anastigmat F8, Rera Pan 100
Self-Development
Scanner: CanoScan 9000F + Silverfast SE plus


では、晴れの日の朝、F=16、1/50秒の撮影です。
やはりピントは 3m 辺り、ファインダーでは画面いっぱいになっているあたり、この場合奥の壁にピントが合っているように見えます。
その他のディティーは申し分なく、冒頭の年代推定が正しければ、約100年前のレンズの描写はココまですごかったのか、と言えるのではないでしょうか。フィルムの性能も良いですよね。きっちりと表現しきっているように思えます。って、雑然としたところを撮影しての評価というのは、ちと寂しいですかね....

ここで使い勝手と言う点で、気をつけなければならないことがひとつあることが判明しました。
それは、巻き取りノブは意外と触ってしまいがちであることです。
127 タイプのフィルムは 135 タイプフィルムよりわずかに大きいながら、そのカメラのサイズは 135 タイプより小さく、ホントにVest Pocket のネーミングの通り、シャツの胸ポケットに入るようなサイズ。しかしながら、外に出ている巻取りノブはかえって触りやすく、鞄に入れていても、どんどん巻き上がってしまいました。ちょっと気に留めておく必要がありそうです。



[Vest Pocket Kodak / Kodak Anastigmat F8 試写4]
VestPocketKodak01i
Vest Pocket Kodak + Kodak Anastigmat F8, Rera Pan 100
Self-Development
Scanner: CanoScan 9000F + Silverfast SE plus


最後は逆光 :-p
F=22、1/50秒での撮影です。いわゆる、感度分の16ですね。
画面全体にフレアが広がってはいますが、小枝がつぶれる程度にまではなっていません、がんばって解像しています。
もしかしたら、1/50 秒の目盛りに合わせているものの、実際には 1/3 段から 1/2 段程度遅いのかもしれませんね。



譲っていただいたクラシックカメラの第2弾、Vest Pocket Kodak / Kodak Anastigmat F=8。
約100年前のレンズとシャッター機構、カメラボディ、最新式のフィルムを使うことで、その写りはあっけないぐらい、いい感じで、かつ、雰囲気のある写真が出来上がることが分かりました。
シャッタースピードが 1/25 と 1/50 の2種類しかないのがちょっと寂しいところではありますが、かえって潔さかなと思えます。距離を合わせるプロセスも無く、見えるか見えないかのファインダーでアバウトに構図を決めて、パシッとシャッターが切れるというのは、もしかしたら、抜群のスナップシューターなカメラシステムではないかと思えるぐらいです。いくつかの不自由さはあるものの、機能限定による結果としての単純さがかえって元始的(プリミティブ)に写真を撮影するという道具と、それを使っていると言う楽しさを感じることができるカメラだと思いました。



[Vest Pocket Kodak]
VestPocketKodak01e

テーマ : ★カメラ&レンズ・機材
ジャンル : 写真

tag : Camera.VestPocketKodak Lens.KodakAnastigmat_F8 Films.ReraPan100

コメント

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No title

ご紹介ありがとうございます。
RERA〜風
北海道発のフィルムが、偏西風に乗って世界中を駆け巡る
そんな気持ちを持って付けました〜

Re: No title

Mさん、コメントありがとうございます。
いつも大変お世話になっております。

> ご紹介ありがとうございます。

絶対お勧めの一品です!

> RERA〜風
> 北海道発のフィルムが、偏西風に乗って世界中を駆け巡る
> そんな気持ちを持って付けました〜

いいですね。
Mさんの想いが伝わって、皆さんに使っていただけるとうれしいですよね!
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